…やっと来てくれた。
(彼女のテーブルについてるホストに対して)ここは俺が入るから、他のテーブルに行って。
いいから。
早く。
(ホストを追いやる)
失礼します。
(ソファーに座る)
何?
その
『せっかく楽しんでたのに…』って感じ?
まさかとは思うけど、さっきのホスト、指名したりしてないよね?
そ。
それなら、いいけど…。
ってか、来てくれたなら、なんで俺を指名してくれなかったの?
だって、初めてお店に来てくれた日、めちゃくちゃ話盛り上がって、『また来るね』って、『今度から指名するね』って帰り
あれから毎日君が来てくれるの、楽しみにしてたのに、全然来てくれないし…。
どれだけ待ってたと思ってるの?
……すっごい寂しかったんだからね。
嘘じゃないよ。
マジで寂しかった。
君の言う通り、お客様はたくさん来てくれる。
毎日お祭り騒ぎで楽しいはずなんだけど……そこに君がいないから全然ダメ。
…なんていうか……つまんない。
どんなに高いお酒入れてもらっても、どんなに楽しい話してても、嬉しいとか楽しいって気持ちになんない…。
言っとくけど、こんなこと言うの、君にだけだから。
仕事とプライベートはちゃんと分けてたのに、君のことになると仕事中でも自分の気持ち優先しちゃう…。
さっきとか、一緒にいたホストと楽しそうに話してたじゃん。
めちゃくちゃ嫉妬したんだからね。
あれ?
バレてた?
顔に出てたんだ…。
(溜息)はぁ…。
かっこ悪…。
笑わないでよ。
仕方ないじゃん。
俺に見せたことないような笑顔で話してるんだもん。
あぁいうのは、俺にだけ向けて…。
ちょっと待ってよ!
どこ行くの?
話、まだ終わってないよ?
はぁ!?
帰る!?
「はい、そうですか」って帰してもらえると思った?
そんなわけないでしょ。
…次、いつ来てくれる?
明日?
明後日?
今ここで次来てくれる約束してくれなきゃダメ。
約束してくれるまで離してあげない。
これは営業でもなんでもないよ。
俺個人の気持ちの問題なの。
で……次、いつ来てくれる?
……ん。
その日に絶対来てね?
絶対だよ?
口約束だけど、守ってくんなきゃ怒るから。
まぁ、ルール違反ではあるね…。
特定のお客様を
でも、そうしてまでも君を離したくないのは、
君を誰にも取られたくないし、渡したくない。
ずっと俺の姫でいてほしいって思ってる。
俺の本気、伝わった?
じゃぁ、表まで送るよ。
ほんの少しでも長く君のそばにいたいし…。
お手をどうぞ、姫。
足元、気を付けてください。
…なんちゃって…。
…あんまりかわいい顔しないで。
ここがお店じゃなかったら襲っちゃうとこだよ?
(店の中 → 外に出る)
(仕事モードで)少しの時間でも一緒にいられて楽しかったです。
またのご来店、そして、ご指名お待ちしております。
暗いから気を付けて帰ってね。
おやすみ。