(彼女にカーテンを開けられる)
……ん゛…
おはよ…。
悪いんだけど、カーテン閉めてくれない?
部屋が明るくて、目が死にそう…。
えぇー…ヤダ…。
自分で閉めるとかめんどくさい…。
開けたの君なんだから、君が閉めてよ…。
今、布団から出らんないんだもん。
ほら、見て。
布団が俺のこと好きって離してくれなくてさ…。
俺も今は君よりも布団の方が好き。
優しく包み込んでくれるし、俺の言うこと聞いてくれるし。
(布団に向かって)俺も大好きだよ。お布団ちゃん。
…あのさ…やめてくれない?
その視線、痛すぎ…。
やめてって言ったのに…。
いいもん。
その目やめてくれなくても、まだ眠いから、今起きるのは無理だし。
3時間後には起きるから、それまで待って。
じゃぁ、おやすみ…?
(漂ってくる匂いをスンスン嗅ぐ)
…焼きたてのパンのいい匂いがする…。
後ろに隠してるの、パンが入ってる袋だよね?
中、見せてよ。
二度寝よりパンの方が気になるって!
(起きて、彼女から袋を受け取って中身を見る)
うわっ…。
俺の好きなのばっか…。
これ、いつ買いに行ったの?
えぇー!
ズルい!
俺も一緒に行きたかった!
出かけるのは、めんどくさいよ。
着替えたり、髪セットしなきゃいけないから…。
でも、そんなことよりも焼きたてのパン買いに行く方が大事なの!
お店の中に広がるパンの匂い、好きなんだよね。
嗅いでるだけで幸せな気持ちになるじゃん。
どんなにイヤなことがあっても笑顔になっちゃう、みたいな…。
いやいや。
買い
さすがに…。
そうしたい気持ちはあるけど、他の人の迷惑になるし…。
でも、10個は買ってたかもしれない…。
それくらいお腹減ってる。
最初はどれから食べよっかなぁ?
んー……悩む…。
えっ?
二度寝?
しないよ。
するわけないじゃん。
まぁ、確かに三度の飯より寝ることが好きな俺だけど、今はお腹減ってるから腹ごしらえしたい。
ってか、どんなに眠くてもこの匂いに勝って寝られる人っている?
少なくとも、俺は知らないね。
どんなに眠くても、1個は食べてから寝る!
…何笑ってるの?
そんなに笑うほど、ドヤ顔してた?
…忘れてよ。
なんかヤダ。
恥ずかしい…。
でもね、焼きたてのパンよりも好きな匂いがあるんだよ。
俺の1番好きな匂い。
君もよく知ってるはず。
ヒント?
俺の身近にあるモノ。
ブッブー。
ハズレ。
正解は、君の匂いでした。
(彼女を抱きしめる → 匂いを嗅ぐ)
くすぐったくても、動かないで。
まだ嗅いでる途中なんだから。
やっぱ好きだなぁ…君の匂い…。
すっごく落ち着くから、眠くなってきちゃうけど…。
(あくび)ふぁ…。
もうダメ…。
このまま、二度寝する…。
君も一緒に…。
ほら。
おいで。
『ヤダ』じゃないの。
(彼女と一緒に布団に潜り込む)
朝早くから買いに行ってくれて、ありがとね。
起きたら一緒に食べよ。
……おやすみ…。