(手を合わせて)ごちそうさまでしたっ!
今日のご飯もおいしかったです。
食後の飲み物、どうしますか?
僕、用意しますよ。
はぁーい。
了解です。
(食後の飲み物を用意し始める)
(嬉しそうに)……ふふ…。
ん?
いいことがあったように見えますか?
…実は、そうなんです。
知りたいですか?
えぇー。
どうしよっかなぁ?
あぁー!
嘘!嘘!
教えますって!
…笑わないでくださいね?
いいことって言うのは、お姉さんと出会えたこと。
お姉さんと出会ってから、僕の毎日は大きく変わったなぁって、幸せを噛み締めてたんです。
『そんなこと』じゃないですよ!
毎日キラキラしてるんですから。
あっ!
後片付け、僕がやりますよ。
置いたままにしててください。
いつもお世話になってるお返しです。
これくらいしか、お姉さんの役に立てないし…。
だって、事実でしょ?
角もシッポも隠せないから、お姉さんみたいに外で働くこともできない。
できることと言ったら、家事をするくらい…。
だから、気にせず僕に任せてください。
って、言ってるそばから、お姉さんが洗い物してるし!
僕がやりますってば!
(お姉さんが手を滑らせてコップを割る)
ごめんなさい。
僕が邪魔したせいで…。
大丈夫ですか?
怪我してませんか?
…少し切れてますね。
ほら。
人差し指のところ。
意外と深く切っちゃったのかな?
結構血出てくる…。
……もったいない…。
(お姉さんの指を咥えて、血を舐める)
ごめんなさい!
勝手に指
ちょっと待っててください。
すぐ救急箱持ってきますっ!
(救急箱を取りに行く)
(救急箱を持って戻ってくる)
人差し指、貸してください。
消毒します。
(お姉さんの人差し指を消毒する)
さっきは、ほんとにごめんなさい。
はしたなかったですよね…。
つい本能に
実は……人の血の匂いを嗅いだのも、舐めたのも初めてだったんです。
だって、血を吸ったり、舐めたりするってことは、人を傷つけるってことでしょ?
そこまでする意味が、自分の中でどうしても分からなくて…。
だから、周りからは落ちこぼれだの、負け組だの言われて、いつも馬鹿にされてました。
ダメダメ吸血鬼なんです。
僕…。
……ありがとうございます。
お姉さんに、そんな風に言ってもらえて嬉しいです。
よしっ!できた。
消毒おしまい。
ちなみに、さっきのは吸血行為じゃなくて止血行為なので、お姉さんはまだ人間のままですよ。
ほら。
人って『吸血鬼に血を吸われると
いやいや。
軽々しく『
っていうか、人は指を切った時、指を
テレビで見ましたけど…。
…そうなんですね…。
気を付けます。
でも、次また同じようなことがあったら、舐めさせてくださいね。
どんなにダメダメでも、僕も吸血鬼。
流れ出る血は大事にしないと。
お姉さんの血、甘くて、まろやかで、後味もさっぱりでとってもおいしかったです。
捨てるなんて、もったいないですから。
僕が有効活用します!
拒否ってもダメです。
これは僕とお姉さんの約束…。
……うぅん。
契約です。
血を
僕の初めて奪ったんですから、『契約しない』とか言わないですよね?
ちゃーんと責任取ってくださいね?