(彼女が起こしてくる)
(寝ぼけた感じで)ん…何…?
まだ眠いから……ほっといて…。
(彼女が彼氏の体を揺らして起こしてくる)
(苛ついた感じで)ん゛ん゛…何?
まだ寝たいんだけど…。
『出かける』?
どこへ?
『飲み会』?
何て店?
ふぅーん。
分かったぁ…。
おやすみ…。
(布団に潜り込む)
(少し間を開ける)
(覚醒して)…えっ!?
ちょっと待って!
(ベッドから落ちる)
いったぁ…。
君が変なこと言うから、びっくりしてベッドから落ちたじゃん。
今『飲み会に行く』って言った?
そんなの今言われても困るんだけど…。
俺の晩ご飯は…?
えぇーっ!?
自分で用意すんの!?
それ、マジで言ってる?
…もういい。
好きなだけ飲んで、楽しんでおいでよ。
俺に構わずね。
俺は今から
当たり前でしょ。
自分でご飯用意しなきゃいけないとか、めんどくさいじゃん。
出前頼むのも、めんどくさいし…。
だからって、食べないとお腹減るし…。
(重い溜息)はぁ…。
めんどくさいことだらけで、やる気なくしただけ。
あのさ…『やる気ないのはいつものこと』とか言わないでくれる?
やる気ある時だってあるんだから。
たとえば……そう!
大事な仕事の時とか!
嘘じゃないし。
ってか、普通に今の失礼だからね。
俺、怒っちゃうよ?
…怒るのめんどくさいから、しないけど…。
それより、さっきから気になってたんだけど、その
薄着すぎない?
上着は?
だったら、俺の黒のパーカー持ってって。
帰ってくる時寒いよ。
今夜は冷え込むって、朝の天気予報で言ってたし。
ダーメっ!
パーカー持ってって。
荷物になるとかならないとかの問題じゃないの。
君が思ってる以上に冷え込んだら、どうするの?
着る服ないんだよ?
今の
そうなったら、絶対明日風邪ひくと思うけど…。
お
いつも同じことの繰り返しじゃん。
いい加減、学習しなよ。
自分のことでしょ?
(ドヤァな感じで)さっき君が言ったことそのまま返すね。
はいはい。
そんなに持ってくのがイヤなら、着てって!
それなら荷物にならないでしょ?
(彼女に自分のパーカーを着せる)
何、ニヤニヤしてんの?
気持ち悪い…。
『俺の匂いがする』?
まぁ、クローゼットの中入れてたから多少匂いが付いちゃうのは当然じゃない?
こら。
脱がない。
着せた意味なくなるじゃん。
このまま着てって。
風邪ひくのと、俺の匂いが付くのどっちがいいの?
うわっ…。
ひどっ…。
風邪ひく方、選ぶとか…。
俺の優しさ、踏みにじられたし…。
…もういいもん…。
(彼女に抱きついて、スリスリする)
ちょっとでもスリスリして、俺の匂い、君に付けとく。
パーカー脱いだとしても、俺の匂いが付いてるように。
……男
分かってないのは君の方。
大人なんだし、もう少し危機感持ちなよ。
…そうだ!
いいこと、思いついた。
俺以外の男の匂い付けて帰ってきたら、パーカー脱いだってことで、
だって、パーカー脱がなきゃ、他の男の匂いなんて付くことなくない?
ちゃんと着てればいいだけの簡単な話でしょ?
ふふ。
何がいいかな?
帰ってくるまでに考えとくね。
(彼女の匂いを嗅ぐ)
…こんなもんでいいかな…。
(彼女を解放する)
(あくび)ふぁ…。
ねむ…。
帰る時、連絡して。
迎えに行くわけないじゃん。
出かけるために、着替えるとかめんどくさい…。
終わった時間、把握しときたいの。
ほら。
もう行くんでしょ?
気を付けて、行ってらっしゃい。