(彼女が生徒指導室に入ってくる)
やっと来ましたか…。
先生はいませんよ。
急ぎの用件があるそうで、
では、ドアを閉めて、そこの椅子に座ってください。
(ドアを閉め、椅子に座る彼女)
まず始めに聞きますが、どうしてここに呼ばれたか分かっていますか?
…そうです。
今日の服装チェックで違反があったからです。
今回の違反点は全部で5か所。
1つ目、スカートの長さ。
2つ目、ネイル。
3つ目、髪型。
4つ目、ピアス。
5つ目、メイク。
以上になります。
個性を出したい気持ちは分からなくないですが、どれもこれも、生徒手帳に記載されている禁止事項ばかり…。
新学期が始まったら、1週間以内に服装チェックがあるのは知っているでしょう?
なのに、どうしていつもいつも
あのですね……「かわいい」か「かわいくない」かで言ってるんじゃないんです。
これは校則、決まり事なんです。
学校に通っている以上、守らなければならないんですよ。
分かってください。
(彼女が抱きついてくる)
ちょっ……抱きつかないでください!
今すぐ離れて!
誰か入ってきたら、どうするんですか!
一言も「かわいくない」なんて言ってないでしょう?
…君は僕が選んだ人なんです。
かわいいに決まってます…。
でも、それとこれとは話が別です。
今回も処分を受けてもらいます。
今回下された処分は、反省文5枚です。
ダメです。
書いてください。
僕の風紀委員長としての権力を使っても、書かずに
クラスも名前も全部、先生に把握されてますので。
ふてくされても、
僕のメッセージを忘れてた
…昨日教えましたけど…?
おやすみのメッセージの時に。
「明日、服装チェックがあるので気を付けてください」と。
そしたら、かわいいスタンプで返事してくれたじゃないですか。
『OKっ!』って。
…そうですよ。
確認してみてください。
(スマホを確認する彼女)
ね?
普通は情報のリークなんて、しちゃいけないことなんですよ。
これがバレたら、委員長の解任どころか、
それでも
どうやら届いてなかったんですね…。
とても残念です…。
別に
今までの僕の優しさが足りなかっただけなので…。
今度からはおやすみのメッセージと翌日のおはようのメッセージの時にも伝えることにします。
それなら、忘れずに
次はこの部屋に呼び出されないように気を付けてくださいね。
では、反省文を…。
……どうしても書きたくないんですか?
絶対に?
それなら、明日の奉仕活動に参加しますか?
校外のゴミ集めなんですけど、
メンバーですか?
僕と幹部メンバーだけですね。
来てくれるんですか!?
ありがとうございます!
でも、どうしたんです?
奉仕活動も反省文書くのと同じくらい嫌いなはずなのに…。
女子がいるのは当たり前です。
幹部は男子ばかりではないので…。
あっ…。
もしかして、やきもちですか?
大丈夫ですよ。
安心してください。
嘘じゃありませんよ。
ほんとです。
…僕を信じられませんか?
ふふ。
いい子ですね。
では、先生に反省文の代わりに明日の奉仕活動に参加する
あっ…でも……その前に…。
今直せる違反点は直しちゃいましょうか。
先生に、また見つかったら面倒なので…。
まずは、折ってるスカートを元に戻して…。
ピアスを外して…。
最後にメイクを落とす…。
メイク自体はとてもナチュラルで、よく見なければ分からないんですが…。
リップの色が、ちょっと派手で、違反と見なされたんではないかと…。
リップだけなら、メイク落としなんか使わなくても、ある程度は落とせますよ?
こうすれば…。
(濃厚なリップ音)
…ごちそうさまでした。
ん。
いい感じに落ちましたね。
実は、
いくら風紀委員長と言っても、僕もただの男。
好きな女の子を目の前にすれば、簡単に狼になるんですよ。
分かりましたか?
…その顔、反則です。
かわいすぎて、
…襲いますよ…?
っていうのは、冗談です。
そんなにビビらないでください。
とりあえず、職員室に行ってきます。
戻ってくるまでに、いつもの
じゃないと、次は何をするか分かりませんから。
…いいですね?