…やっと起きた…。
おはよ。
『なんでベッドに…』じゃないって。
真夜中にドスンってすごい音がして、見に来てみたら、ここで倒れてたの。
椅子から落ちてね。
…記憶ないの?
見た感じ頭に怪我はなさそうだから、そっとしといたけど、気持ち悪いとかない?
(少し苛立った感じで)…『大丈夫?』ってどういう意味?
なんで君に心配されなきゃいけないわけ?
たまには優しくしたっていいじゃん。
…まったく……失礼な…。
頭打ってるかもしれないから、心配くらいするでしょ。
特に、君は体調悪くても隠す癖あるから…。
何ともなくても一度病院行って、
…どうせ行きたくないんでしょ?
短い付き合いってわけじゃないんだし、それくらい分かるよ。
いいよ。
病院行かなくても。
その代わり、ちょっとでもおかしいと思ったら、隠さず俺に言って?
すぐ病院連れてくから。
ぶっちゃけ、めんどくさいよ。
でも、それとこれは話が違うじゃん。
命に関わることだもん。
たぶん、倒れた原因は過労だと思うよ。
だって、ずーっと仕事してたじゃん。
仕事始めから今日まで…。
仕事量が半端ないとか何とか言ってたけど、さすがにやりすぎ。
朝から真夜中まで、ほとんど休憩取らずにやってるでしょ?
ほら…また隠そうと嘘
知ってるからね。
ここんとこ、
いつも机の上で
…『そんなことない』…?
あぁ……ごめん、ごめん。
寝てるんじゃないよね。
落ちてるんだもんね。
違わなくないよ。
だって、寝起きの顔にキーボードのキーの跡、いつも付いてたよ。
今まで言わなかっただけで、知ってたし。
それから、目の下のクマひどいよ。
せっかくのかわいい顔が台無し。
今の君、すっごいブス。
あり得ないくらいブス。
ほんとのことなんだから、ブスって言われて怒ることなくない?
ブスって言われたくないなら、熱が下がるまで大人しくしてて。
はぁ!?
熱があることにも気づいてないの!?
鈍感すぎでしょ…。
ベッドに寝かす時、手がヤケドするくらい体熱かったよ。
…
実際測ったら、かなり高かったし。
具体的な数字は教えてあげない。
まぁ……ヒントくらいなら教えてあげる。
「聞いたら絶対体調悪くなるってくらいには高かった」
これがヒント。
そこから想像して。
どれだけ熱があったか。
(着てる服が違うことに気付く彼女)
あぁ…パジャマ?
汗少しかいてたみたいだったから、熱測ったついでに、軽く
別にいいじゃん。
裸の1つや2つ…。
もっと恥ずかしい姿見てるんだし。
今更でしょ。
それより、喉
何か飲む?
ん。
えっと……はい、スポドリ。
何?
その不服そうな顔…。
冷やすわけないでしょ。
常温に決まってんじゃん。
冷えてる方がおいしいのは分かるけど、余計に体冷やすことになるって分かって言ってる?
冷えてるのは、絶対ダメ!
許さないよ。
(不満を言いつつも、スポドリを飲む彼女)
そうやって、最初から大人しく飲んでればいいの。
無駄な抵抗するの好きだよね。
もういいの?
じゃぁ、ここんとこ置いとくから。
欲しくなったら、勝手に飲んでいいよ。
足りなくなったら、言って。
新しいの、持ってくる。
そろそろ寝なよ。
いつまでも起きてたら、よくなるものも、よくならないから。
早く仕事したいのは分かるけどさ…。
顔に『仕事しないと…』って書いてる。
今後のことも考えて、ワーカーホリックなの、少し直した方がいいよ。
今回は俺がいたからよかったものの、この家に君1人しかいなかったらどうなってたことか…。
笑って
仕事のやり方、少し考えよ?
一緒に。
また倒れたりしてほしくないから言ってるの。
…いい?
ん。
この話は元気になってから、ゆっくり話そ。
ね?
とりあえず、今の君の仕事は寝ること。
枕元にスマホ置いとくから、何かあったら連絡して。
…えぇー…。
1人が寂しいから添い寝してほしいの?
…普通にイヤ…。
だって、俺にうつるかもしれないじゃん。
そんなのヤダ。
眠るまで手握ってるとかじゃダメなの?
(溜息)はぁ…。
めんどくさいなぁ…。
(彼女の寝ている布団に入る)
そっち寄ってよ。
添い寝してほしいんでしょ?
嬉しそうにしちゃって…。
寝付くまでだからね?
寝たら、この部屋から出てくから。
約束だよ?
ほら、目
…おやすみ。