(街中にて買い物中の2人)
ねぇ。
手繋ごっか。
今日やたら人多いから。
迷子になったら大変でしょ?
だから……手、繋ご?
(彼女と手を繋ぐ)
おっと……危な…。
さっきより人増えた?
ヤダなぁ…。
歩きづらくなるじゃん…。
手離しちゃダメだからね。
いい?
約束だよ?
そういえば、予約する物ってケーキとチキンだけ?
あと、何か予約する物あったっけ?
ん?
何?
手、ニギニギしちゃダメなの?
ふぅーん。
気になるんだ…。
別に深い意味はないよ。
ただちょっとニギニギしたいなぁって思って、ニギニギしてるだけだから。
ちょっと!
誰が手離していいって言った?
ほら、繋いで。
迷子になるよ?
…ニギニギしないのは約束できないけど…。
『なんで?』って聞かれても…。
それは……その…。
ごめん。
今は話せない。
…どうしても。
やましいことがあるわけじゃないよ。
隠し事してることに違いないけど、浮気とかそういうのじゃないから。
ちょっと事情があって話せないだけで、あとでちゃんと話すって。
だから、今は話せないって言ってるじゃん!
彼女の指輪のサイズ知らないから内緒で測ってるとか、バレたらかっこ悪いし…。
あっ!?
今のなしっ!
聞かなかったことにして!
…もう…。
クリスマス当日まで内緒にするつもりだったのに…。
そうだよ。
今年のクリスマスプレゼント、指輪用意するつもりだったの。
サプライズで。
だけど、君の指輪のサイズ知らないから…。
なんとかして測ろうとしたわけ。
最初は君が寝てる間に測ろうとしたんだけど、うまくいかなくて…。
最近お互い忙しかったじゃん。
おかげで、全然チャンスがなかったんだよね…。
最終手段で、手繋いでる時になんとなく感覚で分かるかなぁって思って、ニギニギしてみたんだけど…。
逆に警戒されちゃって、俺の計画、
どうしよう…。
クリスマスプレゼント…。
えっ!?
指輪のサイズ、教えてくれるの!?
知りたい!
教えて!
…ありがと。
忘れないように、メモっとこ…。
(スマホにメモしてる)
これで、よし…っと…。
ちょっ……どこ行くの?
そっちに用事ないでしょ?
今から一緒に買いに行くって……まさか、指輪を!?
全然イヤじゃない。
ってか、めちゃくちゃ嬉しい!
だけど、いいの?
サプライズの方が嬉しいんじゃない?
『一緒に選びたい』か…。
……分かった。
一緒に行こ。
えぇー!?
『ほんとにいいの?』って、どういうこと?
自分が言い出したんでしょ?
『一緒に選びたい』って。
やっぱりサプライズの方がよかった?
俺の気持ち?
…まぁ…ほんとはサプライズにしたいよ?
でも、ふと思ったんだよね…。
君の好みは何でも知ってるけど、アクセサリーの好みは知らないな、って。
だから、俺と一緒に選んでほしい。
うん。
いいよ。
どんな物でも。
君がいいなぁって思ったの、買ってあげる。
その代わり、好きなデザインとか教えてね?
将来のために、ちゃんと覚えとくから。
将来って言ったら、将来だよ。
そう遠くない未来の話かな。
…もう…。
『なんのこと?』みたいな顔しないでよ。
ほんとに…。
どうしても知りたいの?
じゃぁ、教えてあげる。
ついでに、予約もさせて。
…君の左手の薬指に、指輪を
どれだけ先の未来になるか分かんないけど、いつか必ず
君に似合う、世界で1番素敵な指輪を用意して。
…その日まで俺が予約してていい?
…もう。
嬉しいのは分かるけど、泣かないで。
ほら。
周りの人たち、こっち見てるよ?
…ねぇ。
返事は?
さっきの返事。
俺の予約、受けつけてくれた?
ん。
ありがと。
次はサプライズにするから、ドキドキしながら楽しみにしててね。