【玄関扉の開閉音】
(溜息)はぁ…。
ただいまー。
(荷物を置く)
あぁ…足パンパン…。
久しぶりにあんなに歩いたかも…。
(ソファーに座る)
疲れたぁ…。
荷物は、あとで一緒に片付けよ。
今は少し休もうよ?
君だって、いっぱい歩いて疲れたでしょ?
こっち、おいで。
なんで俺の隣?
君の指定席はここでしょ。
俺の膝の上。
重くないし、休めなくもないから。
隣に座られる方がヤダ。
ね?
おいで。
(彼女が膝の上に座る)
(彼女を抱きしめる)
今日は1日お疲れ様。
いい買い物たくさんできてよかったね。
…でもさ、なんで靴買わなかったの?
気になってたんでしょ?
あの新作のやつ。
気付いてたよ。
ずっとそれしか見てなかったじゃん。
買えばよかったのに…。
絶対君に似合ってた。
そんなことなくないよ。
俺が似合ってるって言ったもので、ハズれたことあった?
でしょ。
大好きな彼女をかわいくするのは彼氏の役目だからね。
気に入ったならその時買わないとなくなっちゃうよ。
あぁいうのは人と同じで、出会いが大切なの。
次お店行ったらなくなってて、もう2度と出会えないかもしれないし…。
そうなった時、後悔しないって言える?
ほんとに?
我慢しなくていいんだよ。
ほんとは今も欲しくてたまらないんでしょ?
もぅ…。
なんで我慢するようなことしたの?
(相槌数回打つ)
…そっか。
身長のこと気にしてたんだ。
バカっ!
そんなこと気にして欲しい物買わないなんて!
(再度、彼女を抱きしめる)
…でも、ありがと。
君のそういう優しいところ、大好きだよ。
(彼女から身を離す)
あの靴、ヒール高そうだったもんね。
履いたら俺と同じくらいになるかな?
それがイヤなの?
えぇー!?
俺はいいと思うけどなぁ。
手繋ぎやすいし、歩くペース同じくらいになるし…。
なにより、キスしやすい!
これ、1番大事なことね。
(彼女から抱きしめてくる)
ん?
どうしたの?
君から抱きしめてくれるなんて。
『ありがとう』なんてお礼言われること、何もしてないよ。
うん。
いいよ。
ヒールのある靴履いてよ。
ずっと我慢してたんでしょ。
気にしてるんだろうなぁとは思ってたんだけど、言い出すタイミングなくって…。
長い間我慢させちゃってごめんね。
身長差があろうがなかろうが、君のことが大好きなことに変わりないから。
これからは何も気にしないで。
君の好きな靴を履いて、いっぱいお洒落して、デートしよ。
『どうだ!俺の彼女、めちゃくちゃかわいいだろ!』って自慢させてよ。
ね?
ん。
約束。
(触れるだけのリップ音)
今日気になってた靴、明日一緒に買いに行こ?
プレゼントさせてよ。
『ヤダ』って、なんで?
へぇー。
靴をプレゼントするのっていい意味じゃないんだ。
調べてみてもいい?
(スマホを取り出して検索する)
靴…プレゼント…意味…検索っと。
あっ、ほんとだ。
『別れよう』とか『自分の元から去ってください』って意味があるんだ…。
ごめん。
こういうのに
別に、別れたいとか俺の元から去ってほしいとか、思ってないからね。
ただ単純に君にプレゼントしたいだけ。
深い意味はないから。
ほんと?
いいの?
じゃぁ、明日仕事終わったら迎えに行くね。
やったっ!
平日の仕事終わりにデートとか、楽しみすぎるんだけど。
絶対残業しないから。
期待してて。
その靴履いて、いっぱいお洒落してデートしようね。
次のデート、楽しみにしてる。