教会…?
何でウエディングドレスなんか着てるの?
あっ、俺との結婚式?
でも、俺、普通のスーツ…。
『ありがとう』って何?
『さよなら』ってどういう意味?
ねぇ、ちょっと待ってよ。
君の隣にいるの、誰?
待ってってば!
離れていかないで!
(叫んで)
行かないでぇ!
(彼女に起こされる)
【布団をはねのける音】
はっ…!
…はぁ…はぁ…はぁ。
夢?
(彼女が心配そうにしている)
どうしたの?
心配そうな顔して…。
うなされてた?
俺が?
…すごい嫌な夢見てたからかも。
君が俺じゃない知らない男の人とバージンロードに向かう夢。
待ってって言ってるのに、待ってくれなくて。
俺は走って君に追いつこうとしてるんだけど、全然追いつけなくて。
『行かないで!』って叫んだところで目が覚めたんだ。
この世界が現実だよね?
夢じゃないよね?
こっちに来て?
俺の手の届くところに。
抱きしめさせて。
(彼女を抱きしめる)ギュー
よかった。
君がここにいる。
俺の腕の中にいる。
本当によかった…。
(彼女と体を離す)
あ゛~、思い出すだけでもヤバイ。
手、震えて止まらない。
ん?何?
ぇっ、涙!?
かっこ悪。
見ないで。
お願いだから。
あれ?
どうしてかな?
涙、止まらない。
なんで?
(リップ音)チュ
…びっくりした。
恥ずかしがり屋な君からキスしてくれるなんて、初めてだから。
涙?
…止まってる。
びっくりしちゃって、止まったのかも。
ありがとう。
ねぇ。
もう一回、ギューってしてもいい?
(彼女を抱きしめる)ギュー
君がいなくなるって思っただけですごく怖かったんだ。
追いかけたのに、君はどんどん遠くに行っちゃって。
俺の声が届いていないのか、君は振り向いてもくれなくて…。
知らない男の人に笑いかけてるんだ。
俺にいつも笑いかけてくれるように。
何か二人で話してるんだけど、俺には何も聞こえなくて。
君が俺じゃない誰かと一緒になっちゃうって。
やたら現実味を帯びてて…。
本当に怖かった。
(おそるおそるな感じで)
あのさ……。
どこにも行かないよね?
離れていったりしないよね?
俺を一人にしないよね?
君が俺を置いていかないって分かってる。
ずっと一緒にいてくれるって分かってる。
頭では分かってるんだけど、心が追いつかないんだよ。
どうしても怖いんだもん。
夢が現実になっちゃいそうで…。
君がいないと、俺、何もできないの知ってるでしょ?
朝起きることも一人じゃできない。
目覚ましだけじゃ起きられなくて、いつも君が起こしてくれる。
温かいご飯も作れない。
料理苦手だから、いつも君がおいしいご飯を作ってくれる。
他にもいっぱいある。
(めちゃくちゃ甘えてる感じで)
俺、君が好き。
大好き。
君なしじゃ、生きられない。
それくらい君が好き。
君は俺のこと好き?
ずっと好きでいてくれる?
ありがとう。
ごめんね。
ちょっと取り乱しちゃった。
久々に怖い夢見たからかな?
(彼女が部屋を出ようとする)
えっ…。
ちょっと待ってよ。
どこ行くの?
一人にしないで。
お願い。
行かないで。
(子供が駄々こねる感じで)
ヤダ。ヤダ。ヤダ。ヤダ。ヤダ。
行っちゃヤダ。
さっき言ってくれたじゃん。
『どこにも行かない』って。
『離れない』って。
『一人にしない』って。
わがまま言ってるの、分かってる。
でも、あんな怖い夢見て、平気ではいられない。
一人で寝るなんてできない。
心細いんだもん。
寝るなら俺と一緒に寝て?
お願い。
…最初からそのつもり?
…枕、取りに行こうとしてただけなの?
ごめん…。
早とちりしちゃった。
すぐ戻ってきてね?
待ってる。
(彼女が枕を持って戻ってくる)
おかえり。
早く布団に入って。
【2人で布団に潜る音】
一緒だと温かいね。
この温かさ知ったら、もう一人で寝られないかも…。
あのさ、君さえよかったら、これからも一緒に寝たいんだけど…。
ダメかな?
いいの!?
やったー!
ありがとう。
大好き!
(彼女を抱きしめる)ギュー
君に抱きしめてもらうの、好き。
なんだかすごくホッとするの。
安心するというか、落ち着くというか…。
俺を丸ごと君が包み込んでくれてるみたいで、あったかい気持ちになるの。
(以下、徐々に眠くなっていく)
ん…。
(あくび)ふぁ~
眠くなってきた…。
君が抱きしめてくれてるからだね。
夜中にごめんね。
本当にありがとう…。
(寝息)すぅ…すぅ…。