【インターホンの音】
はぁい。
どちら様?
【玄関扉の開く音】
えっ…先輩?
どうしたんですか?
あっ…立ち話もなんですし、とりあえず中入ってください。
【玄関扉の閉まる音】
心配して来てくれたんですか?
…ありがとうございます。
3日も休んですみません。
自分の体力、
『体調管理も仕事のうち』って先輩に何度も言われてたのに…。
今後は気を付けます。
熱ですか?
だいぶ下がってはきたんですけど、まだ完全に下がり切ってなくて…。
今日は微熱です。
ちゃんと薬飲んで寝てたんですけどね…。
ご飯は……ずっとだるくて、あんまり食べてない…です…。
食欲、
先輩の手料理!?
お
食べますっ!
いただきますっ!
作ってくださいっ!
お願いしますっ!
やったー!
(咳き込む)
すみません。
ちょっと興奮したら
『寝てて』って言われても…。
手伝いますよ。
熱があるって言っても微熱だし、だるい感じはほとんどないので。
どうしても寝てなきゃダメですか?
『先輩からのパワハラなの』って…。
何それ…。
そんなのパワハラなわけないでしょ。
でも、せっかくだし、お言葉に甘えて、大人しく寝てます。
台所にあるもの、好きに使ってください。
期待して待ってますね。
(少し間を開ける)
わぁーい!
待ってました!
すっごくいい匂い。
では、
(手を合わせて)いただきます。
(お粥を食べる)
おいしいです。
すごく優しい味がします。
先輩みたいに優しい味…。
涙…?
えっ…ヤダ。
見ないでくださいっ!
大人になってここまで調子悪くなったの初めてで、自分じゃどうにもできなくて…。
心細くなってたところに先輩が来てくれて、安心しちゃったのかも…。
俺が泣いたの、誰にも言わないでくださいね?
約束ですよ?
…ごちそうさまでした。
薬…薬…、あっ…切れてる…。
『だと思った』って…。
…えっ!?新しいの買って来てくれたんですか?
何から何まで、すみません。
(薬を飲む)
着替え?
あぁ…そうですね。
結構汗かいたから着替えよっかな。
『背中
先輩に裸見られるの、恥ずかしいし…。
また先輩からのパワハラ?
どちらかというとセクハラかと…。
いえ、何でもないです。
あんまり裸見ないでくださいね?
…お願いします。
(先輩に背中を拭いてもらう)
気持ちいい…。
ありがとうございます。
前は自分で拭きます。
さすがにこれ以上接近されるといろいろヤバイんで…。
ほんとに、前は自分でやりますから。
もう…今日の先輩、やけに強引です。
…意地悪です。
『先輩からのパワハラ』ってだけじゃないでしょ?
数多くいる後輩の1人である俺のところに、わざわざ休日
……どうしてですか?
心配って……それだけ?
だとしたら、不謹慎です。
(先輩をハグする)
いくら病気で弱っているとはいえ、男の一人暮らしの部屋に女性が一人で来るなんて危ないですよ。
何されても文句言えないんですからね?
……あの…先輩?
少しくらい抵抗してくれませんか?
このままだと、俺、ほんとに襲っちゃいますよ?
いいんですか?
『いい』って…。
何をバカなこと言ってるんですか。
年頃の女性がそんな投げやりなこと言っちゃダメですよ。
(先輩を解放する)
ねぇ、先輩。
聞いてます?
ねぇって…ん!?
(先輩からの強引なキス)
ちょっ…待っ…。
(執拗なキス)
(息切れ)はぁ…はぁ…。
これも、先輩の言うところの”パワハラ”なんですか?
違う?
じゃぁ、何なんですか?
『好き』って…。
今言うとか…ずるいですよ…。
これ以上のこと、したくなっちゃうでしょ…。
でも、今は我慢します。
さすがに全力で相手できないんで。
元気になったら今の続きしましょ?
約束ですからね?
その日は寝かさないつもりなんで……よろしくお願いしますね。