ごめん。
待った?
じゃぁ……帰ろっか…。
最近暗くなるの、早くなったよね。
ちょっと前まではまだ明るかったし、こんなに肌寒くなかったのに…。
寒い?
大丈夫?
なんか寒そうにしてるの気になって…。
さっきからカーディガンの
そりゃ、彼女のことだもん。
もしよかったら……手…
いや……ごめん…。
今の、忘れて…。
ちょっと調子に乗った…。
えっ…いいの?
ほんとに?
ちょ、ちょっと待ってっ!
(服で手を拭く)
俺、
(彼女と手を繋ぐ)
うわっ……やわらか…。
ごめんっ!
つい、思ったことが口から出てた…。
だって、好きな子と手
幼稚園とか小学校の低学年の頃に女の子と手
…めちゃくちゃ緊張する。
君も?
一緒だね。
ってか、手冷たすぎ。
氷みたい…。
俺が連絡するまで、ちゃんと校舎の中にいた?
えぇー?
ほんとに?
鼻の頭、真っ赤になってるけど?
外で待ってたんでしょ。
もぅー。
寒いから校舎の中で待っててって言ったのに…。
どうして寒いのに外で待ってたの?
『部活してる俺を見たかった』?
もしかして、最初からずっと見てた…とか…?
うわぁ…恥ずかしい…。
今日の俺、めちゃくちゃかっこ悪かったのに…。
何もないところでコケるし、先生や先輩に怒られるし…。
そんな姿、君には見られたくなかった…。
…『かっこよかった』って、ほんと?
ほんとの、ほんとにかっこよかったって思ってる?
……じゃぁ、君は今日の俺のどこを見て、そんなにかっこいいと思ったわけ?
『真剣だったところ』?
まぁ…一応、レギュラーだし…。
ちょっとでも調子悪いと、すぐレギュラー外されるから。
油断できないんだ。
……ありがとね。
ちゃんと俺を見てくれて。
でも、君にはかっこいい俺だけを見ててもらいたいな。
めちゃくちゃ活躍してるところをね。
(彼女が小さくくしゃみをする)
ずっと外にいたから体冷え切っちゃったよね。
君はバレてないと思っただろうけど、今小さくくしゃみしたのも見逃してないから。
ちょっと手離すよ。
…これ、着てていいよ。
俺の上着。
俺は平気。
さっきまで動いてたから、全然寒くないし。
女の子は体冷やしちゃいけないの。
こういう時は、遠慮しないで。
ね?
うん。
素直でよろしい。
はい、どうぞ。
あったかい?
よかった。
それにしても、俺の上着、君には大きすぎるね。
ブカブカ…。
でも、それがまたかわいいんだけど。
そんなにブカブカだと荷物持つの、大変でしょ。
荷物貸して。
俺が持つから。
で、荷物持ってた手は俺と
ふふ。
さっきより、手あったかくなったね。
……ドキドキしてる?
手から伝わってくる。
ダメっ!
まだ手離しちゃダメ。
もう少ししたら、ほんとに手を離さないといけないから…。
それまで、このままでいさせてくれない?
ごめんね。
ワガママで…。
君と一緒にいる時は『1秒も離れたくない』『少しでも長くくっついていたい』って、そればかり考えてる。
こんなこと言ってると、頭の中エッチぃことしか考えてないみたいだよね…。
でも、男なんて、実際そんなもんなんだよ…。
好きな子にいっぱい触れたいなぁって。
だから……いつか、この先も君とできたら嬉しいな。