こんなところに、古いお屋敷…?
全然知らなかった…。
【扉を開ける音】
(数回咳き込む)
……すっごい
かなり
こんなんじゃ、何もなさそうだな…。
【物音】
今、物音した…?
なんか、いるのかな?
(物音のする方へ進む)
こんなところに
天使がいる…。
あっ……人…?
ごめん。
驚かせるつもりはなかったんだ。
雪みたいに真っ白な髪と肌だったから、天使だと思っちゃって…。
そんなことより、キミ、ここに閉じ込められてるの?
小さい頃からずっとなの…!?
ひどい。
ひどすぎるよっ!
こんな鍵まで付けて…。
でも、この鍵なら簡単に開けられるかな。
僕、鍵開けるの得意なんだ。
盗賊だから。
ねぇ、ここから出してあげよっか。
だって、あの
外の世界に行きたいんじゃないかなって思って…。
違った?
ふふ。
すぐ鍵開けるから、ちょっと待っててね。
【鍵が解錠される音】
よしっ!
誰か来る前にここから離れよ。
大丈夫。
僕を信じて。
それにしても、動きにくそうな服…。
着物…なのかな…?
どう脱がせていいのか分かんない…。
悪いけど着替えて。
これじゃ、追われた時に逃げられないから。
【服を脱ぐ音】
これ……今まで僕が着てた服で悪いんだけど…。
匂いは大丈夫だと思う…。
キミが着てる服よりは、動きやすいはずだから。
『ヤダ』って、どうして?
この服に思い入れがあるとか?
そうじゃないなら、なんで?
動きにくいでしょ?
『裸を見られたくない』?
えっ…キミ、女の子なの…。
てっきり男の子だと思ってた…。
気が
『どっちでもない』?
どういうこと?
人間は男か女のどちらかでしょ?
そうは見えないけど…。
どこからどう見ても、人間にしか見えない…。
へぇー。
月の
今日は…半月だっけ?
だから両性なの?
ふぅーん。
信じられない…。
ちょっ、ちょっと!
いきなり服脱がないでよ。
びっくりするじゃん。
『見て』って言われても見れるわけないじゃん。
女の子の裸なんて…。
ヤダ!ヤダ!
見れないってばっ!
うぅぅ…。
強引すぎるよ…。
(おそるおそる裸を見る)
……えっ……嘘。
ほんとに、両性なんだ…。
ごめんっ!
ジロジロ見て…。
裸のままじゃ風邪ひくから、服着て。
『信じられない』って僕が言ったから脱いで見せてくれたんだね。
自分のことは『信じて』なんて言っておきながら、キミのことは『信じられない』なんて…。
都合がいいにもほどがあるよね…。
ひどいこと言って、ほんとにごめん。
全然怖くないし、気持ち悪くないよ。
むしろ、それはキミの個性じゃん。
素敵だと思うよ。
おしゃべりは後にして、早くここから離れよっか。
もたついてる
とりあえず、僕の住んでる家においでよ。
心配しなくても、住んでるの僕1人だから。
ん?
ここまでする理由?
だって、僕たち友達じゃん。
友達が困ってたら、助けるに決まってるでしょ?
さぁ、行こ。
グズグズしてる時間はないよ。
【走る足音】 ※ そのままフェードアウトしてください。