長い間会えなかったツンデレ彼女を素直にさせちゃうのが上手な彼氏

【電話の呼び出し音】

もしもし。
ごめんね、いきなり電話なんかして…。
今、時間大丈夫?

特別な用事ってわけじゃないんだけどね…。
少し、君の声が聞きたいなぁって思って…。

ずっと会えなくて、(さみ)しくなっちゃった…。

だって、こんなに会えなかったの、初めてじゃない?
僕、もう無理っ!
()えられないっ!

…会いたい。
早く会いたいよ…。

無理なの、分かってる。
君の仕事が落ち着くまでは会わないって約束だから。

ねぇ………あとどれくらい待てばいい?

えぇ~!?
そんなに!?
……待てないよ…。

『待つのは得意』って確かに言ったよ。
でも、それは『君以外の人では』ってことで…。

君は僕の大好きな人なんだよ?
大好きな人に長い間会えないのはつらいよ…。
しかも、まだそんなに会えないなんて、無理…。

そうじゃなくても、君に会いたくて、たまらなくて…。
昨日の夜は君が夢に出てきたんだから。
それくらい、君に会いたいの。

…君は僕に会いたくないの?
会えなくて、(さみ)しくないの?

ふぅーん。
(さみ)しくないんだ…。

そのわりに、(即答そくとう)できなかったね。
答えるまでに微妙な()があったけど。

ほんとは(さみ)しいんでしょ?
正直に答えてよ。

うん。
僕も君と同じくらい(さみ)しいよ。
だから…。

【インターホンの音】

【玄関扉の開く音】

【電話を切る音】

…ごめんね。
来ちゃった。

どうしても我慢できなかった。

君が忙しいって分かってる。
ほんの数分でいいから一緒にいさせて?
………お願い。

ありがと。

【玄関扉の閉まる音】

玄関でいいよ。
部屋にあがったら、帰れなくなりそうだから…。
わがまま言ってごめんね。

…久しぶりの君の部屋。

(深呼吸数回)

君の匂いでいっぱい…。
幸せー。

ねぇ、こっち来て。
僕の腕の中。
ギューってさせて?

(彼女を抱きしめる)ギュー

やっと抱きしめられた…。
あったかい…。

【紙が落ちる音】

あっ…仕事中だったんだ…。
資料、たくさん…。

僕、もう帰るね。
忙しいのに、来ちゃってごめん。

落ち着いたら連絡して。
今度こそ、大人しく待ってるから。

……ねぇ、離れてくれなきゃ帰れないんだけど。

君が抱きついてくれてるのは嬉しいけど、まだ仕事残ってるんでしょ?
邪魔になったら悪いから、帰るって。
これ以上いたら、ほんとに帰れなくなっちゃう…。

ん?明日?
仕事休みだよ。
それがどうしたの?

えっ…()まっていいの!?
でも、君、仕事が…。

『大丈夫』って、ほんとに?
僕、(邪魔じゃま)にならない?

…ほんとの、ほんとに…いいの?

…嬉しい。
もっと君と一緒にいたかったから。
もう1回、ギューってしていい?

ふふ。
ありがと。

(彼女を抱きしめる)ギュー

さっき、夢で君が出てきたって言ったじゃん。
その夢で、君が泣いてたの。
床に座り込んで、お気に入りのソファーのクッション抱えて、『会いたい』って言いながら泣いてる姿の夢。
僕は抱きしめたいんだけど、幽霊みたいに()けてて、君の体に()れることができなくて…。
そこで目が覚めて、『会いに行かなきゃ』って思って、今日来ちゃったんだ…。

あれ?
どうしたの?
耳まで真っ赤なんだけど?

…もしかして、昨日ほんとに泣いてた?

痛いっ!
痛いってば!
叩かないでよ。

『帰って』って、ひどいなぁ。
()まっていいって、さっき言ったじゃん。
だから、帰らないもんねー。

……あのさ、自分の彼女が(さみ)しくて泣いてるって知ったのに、放置して帰る彼氏がいる?
少なくとも、僕はそんなことしないよ。

今日は、もう仕事終わりにしよ?
会えなくなってから、家でもずっと仕事してたんでしょ?

君を見れば分かるよ。
ちゃんと食べてないし、ちゃんと寝てないのもね。
抱き心地が変わったし、肌荒れしてる。
このままじゃ、体壊しちゃうよ。

効率よく仕事をするには、寝るのも大事な仕事だよ。
だから、寝よ。
もちろん、僕と一緒に。
眠れないなら、僕が腕枕してあげる。
今ならギューもしてあげるけど…?

一緒に寝る人、手ぇ()げて。

ふふ。
いい子だね。
じゃぁ、ベッド行こ?

会えなかった時間取り戻すくらい、いっぱい甘やかしてあげるね。