ただいまぁ…。
って、誰もいないのに『ただいま』って言うの虚しすぎ…。
(溜息)はぁ…。
今日で一週間。
彼女がいなくて寂しくて死にそう…。
明日には帰ってくるって出張に行く前に言ってたよね。
あと24時間も会えない…。
(無理矢理明るく)
でも、裏を返せば、あと24時間すれば彼女に会える!
何事もポジティブに考えなきゃだよね!
…って、そう考えるのも限界。
彼女が足りなさすぎてもう動く気力もない。
(溜息)はぁ…。
お腹空かないけど、何か食べた方がいいよね…。
帰りにコンビニで適当に買ってきたらよかった…。
今更買いに行くの、めんどくさいなぁ…。
晩ご飯は食べなくていいか。
(ベッドにダイブ)
(溜息)はぁ…。
彼女の匂い、もうほとんどない。
薄れちゃった…。
寂しいよ…。
辛いよ…。
ぁっ、彼女のお気に入りのクマのぬいぐるみ。
この子を抱いて寝ないと眠れないから、持って行ったものだと思ってた。
ずっとここにいたこと、今まで全然気づかなかった…。
お前もお留守番なの?
いつも抱きしめて寝てもらってるから、夜寂しいんじゃない?
今だけ俺が代わりに抱きしめてあげる。
(ぬいぐるみを抱きしめる)
ぁっ……彼女の匂い…。
(匂いを嗅ぐ)スンスン
彼女自身の匂いだ。
シャンプーの匂いとかボディーソープの匂いも微かにする。
(深く呼吸する)スーハー
…彼女の匂い、落ち着く。
近くにいてくれてるみたい。
どうしよう…。
急に寂しくなってきちゃった…。
仕事忙しいだろうから『おはよう』と『おやすみ』以外は連絡しないようにしてたけど、今日くらいは連絡してもいいかな?
(鞄の中からスマホを取り出す)
あれ?
通知のランプが付いてる。
(スマホのタップ音)
彼女からだ!
んと、『出張終わり。早く終われたので今日帰ります』!?
ちょっと待って!
えっと、この連絡いつ来た?
3時間前!?
マジかよ…。
彼女からの連絡に気付かないとかあり得なさすぎ…。
とにかく返事しなきゃ!
(スマホのタップ音)
『お疲れ様。気を付けて帰ってきてね』
送信!
帰ってくるなら…ご飯!
でも、冷蔵庫の中にも何も入ってないから準備もできない…。
疲れてるだろうし、外に食べに行くの辛いよね…。
どうしよう…。
(インターホンの音)ピンポーン
ぇっ、もう帰ってきたの!?
【ドアの開閉音】
お帰りなさい。
出張、お疲れ様でした。
疲れたでしょ?
荷物持つよ。
連絡さっき気付いて返信したところに帰ってきたから、びっくりしちゃった。
早く帰ってきてくれて嬉しい。
それにしても早く着いたね。
もう少し遅いかと思ってた。
1本早い電車に乗れたんだ。
よかったね。
ん?何?
両手広げて。
……いいの?
(彼女を抱きしめる)ギュー
ごめん。
今だけネガティブな俺を許して。
寂しかった…。
辛かった…。
君と一週間も会えないなんて初めてで、今までどうやって生活してたか分からないくらい戸惑ったんだよ。
最初は、よかったの。
ベッドにも部屋にも君の匂いが充満してたから。
週の半ば頃からは徐々に辛くなってきたの。
君の匂いが薄れてたから。
今日はもう動く気力さえなくなるほどだったんだからね。
でも、君がいつも抱いて寝てるクマのぬいぐるみを見つけて、いつも君がしてるみたいに抱きしめてたら少し落ち着いたんだ。
君の匂いがしたから。
俺はもう君なしじゃ生きられない。
俺の全ては君でできてるって言っても過言じゃない。
たった一週間君と離れただけで、こんなにも俺はダメ人間になっちゃうんだよ。
だから少しだけ君を補充させて?
ちゃんとお留守番できたご褒美をちょうだい?
ギューもいいんだけど、チューもしたい…。
ダメ?
お土産話は後でもできるでしょ。
俺は「今チューしたい」って言ってるの。
話すり替えるのはよくないよ。
(少し苛ついて)
逃げないで。
おしゃべりも、もうおしまい。
黙って。
(Sっぽく)
黙らないおしゃべりな口は俺の口で塞いでやる。
(リップ音)チュ
やっと黙った。
どうしたの?
顔真っ赤だよ。
そんな反応されると、もっとしたくなっちゃう。
好き。
(リップ音)チュ
好き。
(リップ音)チュ
大好き。
(リップ音)チュ
君は?
(リップ音)チュ
言って?
(少し間を開けて)
(リップ音)チュ
ふふ、俺も。
(リップ音)チュ
(溜息)はぁ…。
やっと落ち着いた。
ごめんね。
自分でも抑えられなくなってた。
それだけ君が不足してたってことで許して?
出張は当分ないんだよね?
…よかったぁ~。
お仕事だから仕方ないけど、やっぱりこんなに離れるのは寂しいし、辛いの。
しばらく離れたくない。
ずっと側にいて?
俺もずっと側にいるから。
約束だよ。
大好き。
(リップ音)チュ