先輩、呼び出してごめんなさい。
少しだけ時間、いいですか?
先輩に見せたいものがあって…。
どうしても、すぐに見せたかったんです。
…手、出してください。
いいから、いいから。
早く手出して。
はいっ!これ。
見てください。
そう。これ、この間のテストの成績表です。
よーく見て。
ふふ。
俺、がんばっちゃった。
先輩と約束したのは数学だけだったでしょ?
でも、先輩に
えらいでしょ?
えへへ。
先輩に
…ねぇ、先輩。
俺とした約束、覚えてますか?
『数学のテストでクラスで1番取ったら先輩の初めてください』って、約束。
…『忘れた』?
はい、嘘ぉー。
先輩、嘘
そんなに目泳がせてたら『嘘
先輩が絶対逃げると思ったから、全教科1番取ったんです。
先輩、
俺、意外とやればできる子だったみたいです。
ちゃんと約束は守ってもらいますよ。
先輩の『初めて』、俺にください。
【一歩近づく足音】
【一歩近づく足音】
なんで俺から
【一歩近づく足音】
『
【一歩近づく足音】
『怖い』?
俺、怖いことなんて、なにもしないですよ。
【一歩近づく足音】
先輩と『いいこと』したいだけです。
【一歩近づく足音】
はい。残念でした。
背中が壁についちゃいましたね。
…もう
(先輩に口を押えられる)ん゛っ!?
(もごもごした感じで)ちょっと…先輩…。
手、離して。
ちょっと苦しいから…。
お願い。
(先輩に手を離してもらう)ぷはっ!
普通、いきなり口を手で押さえるとかします!?
びっくりしちゃいましたよ。
…はぁ!?
ちょっと待って。
『学年で1番取るまでダメ』って、どういうこと…。
だって、俺との約束は『次の数学のテストでクラスで1番になったら』だったでしょ。
『学年で1番』とは言ってないじゃん。
『やればできるでしょ』って…。
確かに、さっき『やればできる』とは言ったけど…。
どうしてもダメなの?
(拗ねた感じで)………先輩の嘘
じゃぁ先輩、今、約束してください。
学年で1番取ったら、絶対に先輩の『初めて』くれるって。
ほんとに?
約束ですからね?
次は
(耳元で)先輩の『初めて』、全部俺がもらいますから。
ふふ。
顔真っ赤ですよ。
かわいい先輩に
でも、先輩のおかげで
先輩が教えてくれなきゃ、絶対補習受けなきゃいけなかったと思うから。
これから始まる夏休み、先輩とたくさんの時間過ごせるから、すっごく楽しみです。
いっぱい思い出作りましょうね。