せーんぱいっ！
何してるんですか？
あー！
またメガネかけてる。
どうして、俺と一緒の時はメガネかけるんですか？
普段はかけてないの、俺、知ってるんですからね。
そりゃ、先輩を見かける機会なんて、いくらでもありますから。
昼休みの時とか、教室を移動してる時とか…。
あと、授業中！
グラウンドで体育の授業受けてる先輩が俺の席から見えるんですよ。
それで、よく怒られるけど…。
『授業中に、よそ見するな！』って…。
よそ見するのは、悪いことだとは思ってます。
でも、クラスの人たちといる時の先輩って、俺には見せない顔をしてるから…。
一瞬たりとも
先輩、めちゃくちゃかわいいんだもん…。
冗談なんかじゃないですよ。
ほんとですって。
俺の言葉、信じられませんか？
…信じられないんだ。
なんで？
理由、教えてください。
（相槌数回打つ）
はぁ！？
『俺が先輩と付き合ったのは罰ゲーム』って聞いた！？
なに、それ…。
そんなわけないでしょ？
誰から聞いたんですか？
そんな
俺、今まで誰とも付き合ったことないですよ。
俺の初めての彼女は先輩です。
嘘じゃないです。
ほんとに。
『いつも一緒にいる女の子がいる』って…？
あっ！
アイツは
小さい頃からずっと一緒に育ったから兄弟みたいなもので…。
もしかして、先輩、不安だったんですか？
ふふ。
かわいい。
大丈夫ですよ。不安にならなくても。
アイツ、彼氏いますから。
確か……大学生って言ってたかな…？
俺があいつに対して特別な感情なんてもってないですから。
今まで一度たりともね。
あいつも同じじゃないかな。
俺の特別は先輩、ただ一人だけです。
ほかにはいません。
…これでも、まだ信じられないですか？
ん゛～、どうやったら信じてくれるんですか？
俺、もう分かんないよ…。
あっ！
ほら、あそこ見てください。
アイツです。
その先には……彼氏ですね。
（独り言っぽく）…車で
うわっ、キスした…。
おいおい…。
そんな場所でするなよ…。
先生に見つかるぞ…。
…ねぇ、先輩。
これで信じてくれますか？
俺とアイツが、特別な関係じゃないって。
あんなキス、愛し合ってる関係じゃなきゃしないでしょ？
…ん？先輩？
（笑いながら）顔、真っ赤。
めちゃくちゃかわいいんですけど。
人がキスしてるの見るの、初めてですか？
そっか…。
…まぁ、俺もですけどね。
あの！
突然なんですけど、ハグしてもいいですか？
なんか、あてられちゃって…。
どうしても先輩とハグしたくなっちゃったんです…。
ダメ…ですか…？
いい！？
…やった。
（先輩を抱きしめる）ギュー
………先輩。
俺たちも、あんなキスしませんか？
…『ダメ』？
なんで？
今の流れだと『いいよ』って言ってくれるところでしょ？
…もしかして、俺のこと、
好きなら、いいじゃないですか？
ね？
…キス、しましょ？
（ちょっと拗ねた感じで）…あの……先輩…。
メガネ外してもらってもいいですか？
…もしかして、先輩が俺と会う時に、いつもメガネしてるのって、キスされないようにするため？
ちょっと、目、
ちゃんと、俺の目見て、答えてください。
絶対怒らないから。
（溜息）はぁ…。
……やっぱり。
そんなことするわけないじゃないですか。
こんなに大好きなんだから。
ね、先輩。
キスさせてくれるなら、先輩自身でメガネを外してください。
イヤだったら、メガネしたままでいいですから。
先輩の気持ちを
無理矢理とか、俺イヤだから。
先輩が、俺をちゃんと受け入れてくれるまで待ちます。
その覚悟は先輩と付き合う時にできてるので。
…いいんですか？
ほんとに？
俺、ほんとにキスしちゃいますよ？
初めてだから、
…ありがと、先輩。
（触れるだけのキス）
うまくできてました？
初めてだったから、よく分かんなかったです。
先輩もよく分かんなかったんですか？
…それなら、もう一回したいです、キス。
もっと先輩とキスして、先輩の
ダメ？
やったー。
あっ、そうだ！
今、どれだけ先輩のことが好きか、キスで教えてあげます。
俺が先輩にどんなに夢中がきっと分かってもらえるはずだから。
ね？
俺を受け入れて。
いっぱいキスしよ？
（濃厚なリップ音） ※ キスしながらフェードアウトしてください。