突然のアイドル活動!?

<登場人物>

●アカネ
4人の中で1番年上。お兄ちゃん的存在。
おっとりしているようで、押す時はグイグイ押す。
年齢関係なく、誰に対しても普段から敬語を使う。
モデルとして活躍中。

●アオイ
ダウナー系。
あまり感情を表に出さないので、たまに勘違いされる。
人見知りで、初対面の人が苦手。
アカネの次に年上。
俳優として活躍中。

●ミツキ(兄)
サツキと双子。
突っ走りやすいサツキの世話を小さい頃から見ていたためか、わりとしっかりしている。
サツキと双子アイドルとして活躍中。

●サツキ(弟)
ミツキと双子。
突っ走りやすい性格のため、常識が欠けている部分がある。
人の言葉を素直に受け取ってしまう。
ミツキと双子アイドルとして活躍中。

(↓以下本文↓)
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(事務所の会議室にて)

(会議室のドアをノックする音 → ドアの開閉音)

アスカ:失礼します。
    お疲れ様です。

    今日は何の話ですか?
    新しい仕事の打ち合わせとか?

(アカネ、席に座る)

    …なんで待たなきゃいけないんですか?

    ふぅーん。
    (ボソッと)俺のほかに誰か来るんだ…。

    別に深い意味はないですよ。

    ちなみに、何人来るんですか?

    (独り言っぽく)…4人。
    だとすると、コラボ企画とか、合同イベントとかかな…?

(会議のドアをノックする → ドアの開閉音)

アオイ:…失礼します。

    あれ?
    アカネじゃん。
    久しぶり。

アカネ:お久しぶりです、アオイ。

アオイ:ここにいるってことは、アカネも呼ばれたの?

アカネ:そうですよ。
    なんで呼ばれたのか、まだ教えてもらえてないですけどね…。

アオイ:そっか。

(アオイ、席に座る)

アカネ:俺たち以外に、あと2人呼ばれてるみたいです。

アオイ:知ってる人だといいな…。

アカネ:アオイは人見知りですからね。
    これを機に、直してみてはいかがですか?

アオイ:それは無理。
    今までも直そうとしたけど直んなかった。

アカネ:あらら…。
    それは残念。

(突然ドアが開く)

サツキ:いっちばーん!……じゃなかった。

ミツキ:サツキ!
    会議室に入る時はノックしろって何度言えば…。

(ミツキ、会議室に3人がいることに気付く)

ミツキ:ノックもせずに失礼しました。
    お疲れ様です。

(ミツキ、会議室のドアを閉める)

アカネ:2人とも、お疲れ様です。
    仕事は終わりましたか?

(サツキ・ミツキ、席に座る)

サツキ:もっちろん!
    『大事な話がある』って言われたから、サクッと終わらせた。

アオイ:さすが、サツキ。
    やる気になった時はすごい。

サツキ:(ちょっとオコっぽく)アオイ、それどういう意味?

アオイ:やる気スイッチ入るとサツキはすごいって話。

サツキ:(照れて)へへ。
    それほどでもー。

ミツキ:サツキ、それ褒められてないよ。

サツキ:えっ!?
    マジ!?

アオイ:これで4人…。
    揃ったんじゃない?

アカネ:ですね。
    そろそろ話してくれませんか?
    俺たちがここに呼ばれた理由。

(マネージャー、話し始める)

アオイ:……アイドルグループ?
    俺たちが?
    本気で言ってるの?

ミツキ:……アオイ、怒ってる?

アオイ:怒ってない。
    戸惑ってるだけ。

サツキ:そうだよね。
    いきなり『4人でアイドルグループを』なんて言われても…。

アオイ:できる気がしない。
    俺、この話から下りる。

    これで契約打ち切りならそれでも構わない。
    皆に会えなくなるのはつらいけど…。

    それ以上にアイドルとか無理すぎる。

アカネ:まぁ、まぁ。
    皆、落ち着いて。
    それぞれ思うところがあるように、彼女にも何か考えがあるんですよ。

    なんで、俺たちでアイドルグループを組もうと思ったんですか?
    理由、話してください。

(マネージャー、4人に話し始める)

(4人、相槌数回)

アカネ:未来のため、ですか…。

サツキ:とは言っても、俺とミツキは双子アイドル。
    アカネはモデルで、アオイは俳優。

    それぞれの活動は今までのままなら、何も変わんないじゃん。
    なのに、アイドルグループ組むの?

アカネ:でも、やってみる価値は多少なりともあるかもしれませんね。

ミツキ:アカネちゃんは、乗り気なの?

アカネ:乗り気ではないですよ。
    アイドルになりたいわけではないですから。

    ただ、実際このままではいつか仕事がなくなるだろうなとは思ってました。
    勢いのある新人が来れば、俺なんかすぐに消されちゃいますし…。

アオイ:アカネに限って、それはない。

サツキ:うん。
    アオイの言う通り。

    アカネちゃんが干されるなら俺たちなんか存在自体揉み消されちゃうって。

アカネ:アオイもサツキも、さすがに言いすぎですよ。

    とはいえ、皆も薄々感じてたんじゃないですか?
    このままじゃダメだ、って…。

アオイ:…そうだけど…。

サツキ:アオイは何がイヤなの?

アオイ:アイドルって、歌って踊るのは当たり前。
    今はしなくてよくても、いつかやらなきゃいけない日がくる。

ミツキ:たしかにずっと『ない』とは言えないね…。

アオイ:歌って踊るとか、俺には無理。
    恥ずか死ぬ…。

サツキ:じゃぁさ、一旦アイドル活動は置いといて…。

    アオイは俺たちとグループ組むのイヤ?

アオイ:イヤじゃない。
    皆と一緒が一番落ち着く。

ミツキ:だったら、一緒にやってみよ?

サツキ:俺、アオイと一緒に活動したい。

アオイ:(納得してない感じで)……うん。

アカネ:あの……ひとつ聞いてもいいですか?
    俺たちがアイドル活動し始めたとして、担当マネージャーは誰なんですか?

    ……ふぅーん。
    あの人か…。

    ……貴女が担当マネージャーだったらなぁ…。
    そしたら、俺もアオイもアイドル活動することに即OKするのに…。

    ですよね?
    アオイ。

アオイ:うん。
    担当してくれるなら……歌って踊るのも、がんばって練習する。

アカネ:だそうですよ?
    どうしますか?

サツキ:うわぁ……アカネちゃん、超悪い顔してる…。

ミツキ:まさに悪代官って感じ…。
    あの顔してる時のアカネちゃんには誰も勝てないよね…。

アカネ:サツキ、ミツキ。
    何か言いたいことがあるなら、はっきり言っていいんですよ?

サツキ:(同時に)ないでーすっ!
ミツキ:(同時に)ないでーすっ!

アカネ:で、返事は?

    『雑務で手いっぱいだから』なんだと言うんです?
    俺たちにアイドルグループ組んでほしいんですか?
    ほしくないんですか?

    よーく考えれば、答えはひとつしかないですよね?

(マネージャー、仕方なくOKする)

アカネ:はいっ!
    では、決まりですね。

サツキ:やったー!
    担当マネージャーになってくれた!

ミツキ:アオイもよかったね。

アオイ:うん。
    明日から、今まで以上に仕事がんばれそう。

    ってか、これからマネージャーって呼んでいい?

サツキ:俺も!俺も!

アカネ:ふふ。
    マネージャーを引き受けただけで話が進んでびっくりしてるんですか?

    俺たちはずっと貴女に担当マネージャーをしてほしかったんですよ。
    まさか、全然気付いてなかったなんて…。

ミツキ:結構分かりやすくアピってたのに…。

アオイ:マネージャー、鈍感だもん。
    仕方ないよ。

アカネ:今度からは、もう少し俺たちの小さな変化にも気付いてくださいね?
    担当マネージャーなんですから。

サツキ:へ。

ミツキ:ん。

アオイ:じ。

(マネージャー、『はい』と返事する)

アカネ:マネージャーの返事も聞けたことですし、そろそろ解散しましょうか。
    (各々おのおの)、明日も仕事ですし…。

サツキ:はーい。
    ミツキ、帰ったらゲームしよ!ゲーム!

(アカネ・サツキ・ミツキ、マネージャーから離れる)

ミツキ:えぇー!?
    疲れたからお風呂入ってすぐ寝たい…。

(アオイ、マネージャーに近づく)

アオイ:……ねぇ、マネージャー。
    さっそくなんだけど、ひとつお願いがあって…。

    ……明日の現場ついてきてくれない?

(アカネ・サツキ・ミツキ、急いでマネージャーに近づく)

アカネ:ちょっ!?アオイ!?
    抜け駆けすぎませんか!?

サツキ:そうだ!そうだ!
    アオイばっか、ズルい!

ミツキ:俺たちにもついてきてほしい!

(※以下、マネージャーを口説き落とすように)

アオイ:マネージャーになったこと、絶対後悔させない。

アカネ:むしろ、自慢できるくらい活躍します。

ミツキ:1秒たりとも目が離せないほどに魅了してあげる。

サツキ:活躍しまくってる姿をその目に焼き付けて。

アカネ:(同時に)貴女のために、がんばるから。
アオイ:(同時に)貴女のために、がんばるから。
サツキ:(同時に)貴女のために、がんばるから。
ミツキ:(同時に)貴女のために、がんばるから。