(お嬢を見つける)
お嬢!
今日も1日お疲れ様でした。
(お嬢、その場を離れようとする)
(彼、お嬢のあとを急いで追いかける)
ちょっ……待って!待って!待って!
どこ行くんすか?
……あれ?
なんか不機嫌?
おなか減ってるんすか?
えぇー!?
今日から迎えに来ちゃダメ!?
そんなの、ひと言も聞いてないっすよ。
なんでダメなんすか?
理由を話してください。
『恥ずかしいから』なんて理由は受け付けられないっす。
いいですか?お嬢。
この世の中、いつ、どこで襲われるか分かんないんすよ?
俺はお嬢の世話係として、命に代えてもお嬢のことを守るのが仕事なんす。
それを奪うのは、たとえお嬢でも許さないっす。
ふふ。
分かってくれたら、それでいいっす。
(車のドアを開ける)
さぁ、帰りましょ?
(お嬢、車に乗りこむ)
(車のドアを閉める)
(運転席に自分が乗りこむ)
シートベルトしました?
じゃぁ、出しますね。
(車発進)
ん?
明日も明後日もその先も、毎日車で迎えに行きますよ。
当たり前っす。
は…?
『本当の理由』?
さっきのは嘘だったんすか?
ん゛ん゛ー……ここは怒らなきゃいけないんでしょうけど、ほんとの理由をきちんと話してくれるなら許します。
(相槌数回)
ダイエット、か…。
だから、迎えはいらないって言って、ウォーキングがてら家まで歩こうとしたんすね。
誰かに何か言われたのかもしれないっすけど、その必要はないっすよ。
お嬢は全然太ってないっす。
……って言っても、納得してくれないっすよね?
じゃぁ、お嬢的に、どこが太ったって思うんすか?
お腹まわり…?
見た感じ、太ったようには見えないっすけどね。
『飯の食いすぎ』が原因…?
だったら、俺のせいっすね。
お嬢がおかわりする時の料理当番は、必ず俺なんで。
そうっすよ。
知らなかったっすか?
お嬢好みの味付けを研究しまくったんで、その成果っすね。
『おかわりしない』なんて言わないでくださいよ。
俺、お嬢がおかわりしてくれるの、すっげー嬉しいんすから。
ちなみに、今夜の料理当番俺なんで、いつもみたいにおかわりしてくださいね。
……してくれなきゃ、明日の料理当番に言って、飯を特盛にしますから。
しっかり食べて、しっかり寝る。
これが一番の健康っすよ?
今のお嬢には、ダイエットなんて不健康そのもの。
仮におかわりして丸々太ったとしても、お嬢は素敵な女性に変わりないっす。
(車停止)
(自宅に到着)
はい、到着。
今ドア開けますね。
(車を降りて、後部座席のドアを開ける)
お疲れ様でした。
(お嬢のカバンから手紙が落ちる)
あっ、お嬢。
なんか落ちましたよ?
……手紙?
これって、ラブレターってヤツ?
誰から貰ったんすか?
(お嬢が手紙を取ろうとするが、腕を上げて取れなくする)
あっぶねー…。
いろいろ聞く前にラブレター返すわけないじゃないっすか。
…それにしても、古風なことするヤツがいるんすね。
今って、告白するのも面と向かってじゃなくて、スマホでメッセージ送ったりとかなんでしょ?
なんか
ちゃんと面と向かって告白するし、されたい。
お嬢もっすか!?
分かってくれる人がいて嬉しいっす。
……で、このラブレター、誰からなんすか?
適当にはぐらかそうとしても無駄っすよ。
お嬢の世話係なんすから、こういうのも全部把握しとかないと…。
……ふぅーん。
アイツか…。
お嬢の近くにいるヤツの顔と名前と素性は男女関係なく全員調べてます。
危険分子だったら、排除しないといけないので…。
(手紙をお嬢に返す)
すいませんでした。
小学生みたいなイタズラして…。
ラブレター、返します。
とりあえず、このラブレターの返事はお断りしてください。
だって、面と向かって渡してはいても、言ってはいないっすから。
さっき、お嬢も言ってたでしょ?
『面と向かって告白されたい』って。
お嬢が言えないなら、俺から伝えるんで言ってください。
念のため言っときますけど、俺に内緒で勝手に彼氏作ろうとしても無駄っすからね?
俺の情報網、舐めないでください。
……そっすねぇ…。
もし、この先俺のせいで嫁の貰い手がなかったら……。
(耳元で)俺が責任取るんで、安心してください。