(チリーンみたいな鈴の音)
はい、はーい。
ようこそ。
死後の世界へ。
僕はこの世界の神様。
よろしくね。
って、いきなり言っても戸惑っちゃうよねぇ…。
そ。
君は死んじゃった。
ついさっき。
死因は……がんばりすぎ。
いわゆる、過労。
無理しすぎて体が悲鳴あげてたの、気付いてたのに、なんで休まなかったの?
『ほかの人に迷惑が…』って言うけど、ほんとにそう思ってる?
じゃぁ、見てみよっか。
君が生きてた世界の今を。
ちょっと待ってねぇ。
(現世にチャンネルを合わせ、現在を見る)
……はい。
映った。
ふふ。
これくらい簡単だよ。
だって、神様だもん。
で、どう?
皆、迷惑かかってるように見える?
まぁ、見た目じゃ分かんないか…。
だったら、心の声を聞こえるようにしてあげる。
(彼女の耳に心の声が聞こえる)
一部の人間以外は迷惑がってないでしょ?
それが真実。
その一部の人間には、このあと僕から『これでもかっ!』ってくらいの天罰与えとくから気にしなくていいよ。
……君の言う通り、助け合いは必要だと思う。
でも、一部の人間が思ってることは『めんどくさい』だの、『次は誰にやらせようか』だの、他人を利用するだけ利用して自分が楽することばっか。
それって助け合いじゃなくて、搾取って言わない?
でしょ?
それで……話を戻すけど、休まなかったほんとの理由は何?
さっきの理由が建前なのは分かってる。
怒らないから言って?
僕も君を少しでも休ませようといろいろやってたんだよ?
結構いろいろやったから全部は覚えてないけど、最近やったことで言えば、パソコンをフリーズさせてみたり、電源をいきなり落としてみたり、取引先との打ち合わせを延期させてみたり……かな。
なのに、君ときたら全然休まないで、今やらなくていい仕事を新たに始めるじゃん?
「ワーカーホリックなの!?」って思っちゃった。
違うなら、なんで休まないの?
ふぅーん。
そっか…。
君には君の理由があったんだ…。
気付かずに邪魔しちゃってごめんね。
お詫びと言っちゃなんだけど、転生してみる?
元の世界じゃない世界で赤ちゃんからの人生やり直しになるんだけど…。
ん。
了解。
転生の準備していくね。
あっ!
そう!そう!
何か希望はある?
ある程度の希望は叶えられるよ。
性別、髪や目の色、成長した時の背の高さや体型……あと、スキルもね。
スキルっていうのは、君の世界で言うところの運動神経がいいとか、歌唱力がすごいとか、カリスマ性があるとか……そういうの。
……君の希望は?
OK。
じゃぁ、少しだけ目瞑っててね。
(少しだけ間を開ける)
はい。
目、開けていいよ。
これで転生の準備は完了。
あと、君には内緒で、僕からひとつ加護を付けさせてもらった。
何の加護かは、転生してのお楽しみ。
きっと君の人生の役に立つはず。
さて、時間だね…。
次の人生は無理しないこと。
いい?
僕との約束。
僕が無理してるって思ったら、また妨害するからよーく覚えといてね?
……次の人生、君に
(おでこにキス)※省略可