大人になっても相変わらず懐いてくれる近所の男の子

(遠くから駆けてくる足音)

……姉ちゃん!姉ちゃん!

(バックハグ)

おかえり!

へへ。
姉ちゃんの後ろ姿見つけて走ってきちゃった。

姿・形が変わっても分かるよ。
姉ちゃんのこと、大好きだもん。

(姉ちゃんから体を離す)

荷物、持つよ。

いいって。
姉ちゃん、昨日まで仕事だったんでしょ?
疲れた顔してるもん。
『疲れ抜けない…体だるい…』って。

こういう時くらい、俺を頼ってよ。
ね?

『でも』も、『だって』もナシっ!
いいって言ったら、いいんだって。
俺が自分から「やらせて」って言ってんだし、気にしないで。

それに、姉ちゃんの『重い』は、俺にとっては『重くない』の。
これくらい余裕ぅー。

(姉ちゃんの荷物を持つ)

…ほらね?

家に帰る途中だったんでしょ?
なら、家まで持ってく。

(2人で歩き出す)

ん?
うん。
ちょっとコンビニまでアイス買いに行ってた。

急にアイス食べたくなって買いに行ったんだけど、この暑さ、普通にヤバくない?
俺の方が溶けちゃいそう…。

姉ちゃんもひとつ食べる?
いっぱい買ってきたから、好きなの選んでいいよ。

帰りながら食べることも考えて、カップアイスは買ってない。

暑い中冷たいアイスを食べながら帰るのが夏の醍醐味でしょ?

アイスあげる代わりに、買い食いしたこと、母さんには内緒にしててね?
『行儀が悪い!』って、また怒られるから…。

(姉ちゃんに諭される)

(子供じみた言い訳っぽい言い方で)…我慢できるなら、最初からやんないもん。
こんなに暑くなってる夏が悪いんだもん。

それより、姉ちゃんが帰ってきたってことは、夏休みなんだよね?

いつまで?

たったそれっぽっちしかないの?
もっとゆっくりできないの?

(溜息)はぁ…。
全然遊びに行けないじゃん。
姉ちゃんといろんなとこに行きたかったなぁ…。

んとね……海行って、プール行って、キャンプ行って、買い物行って……ほかにも、いろんなとこ行きたかった…。

遊んでばっかで何が悪いの?
普段、俺は勉強、姉ちゃんは仕事をがんばってんだから、夏休みの間くらい遊び倒したって罰は当たんないよ。
むしろ、いいリフレッシュだって。

休みの間の姉ちゃんの予定は?
同窓会とか、いろいろ予定入ってたりする?

空いてるの!?
じゃぁ、「明日遊びに行こう」って言ったら行ける?

やったー!
姉ちゃんと出かけられる!

だって、いっつも姉ちゃん予定入ってんじゃん。
友達と買い物行ったり、遊びに行ったり…。
俺とだって遊んでほしいのにさ…。

……寂しいに決まってんじゃん。
置いてけぼりにされてるみたいで…。

(姉ちゃんに頭なでなでされる)

頭、撫でないでよ。

拗ねてないし、子供扱いされるのヤダ。

いつまでもかわいい近所の男の子だと思わないでよね。

(姉ちゃんの家に到着)

あーぁ……もう着いちゃった…。
姉ちゃんともっと話したかったなぁ…。

はい。
荷物。

せっかくの夏休み、ゆっくり休んで。

じゃぁね。