(同僚と話しながら)マジでだりぃ…。
なんで俺がパーティーに出なきゃなんないわけ?
こういうのは部長の仕事だろ…。
いくら仕事ができるからって俺まで出る必要絶対ない…。
まぁ…人脈を広げる場だと思えば、割り切れなくもないけど…。
なんか納得できない…。
(彼女とすれ違う → ふわりと香る彼女の匂いをスンと嗅ぐ)
わりぃ、先行ってて。
ちょっとヤボ用…。
(彼女に声を掛ける)
あの、すみません。
大丈夫ですか?
顔色が優れないようですので…。
……人酔いですか…。
今日の式典パーティーはかなりの人が参加しているようなので、慣れててもつらいですよね…。
休める場所を知っているので、ご案内しますよ。
いいんです。
私も休みたかったところですから。
ゆっくり行きましょうか。
(会場から離れて、彼女と並んでゆっくり歩く)
このようなパーティーにはよく参加されるんですか?
初めてなんですか…。
だったら、驚いたでしょう?
この人の多さ。
私も何も聞かされずにここに来たので、驚いちゃいました。
今更ですけど、歩くのはつらくないですか?
なんなら、私が抱えてもいいんですが……
でしたら、もっと私によりかかってください。
その方が少しは楽でしょう?
亜人は人間よりも筋肉があるので、この程度どうってことはありません。
遠慮は不要ですよ。
つらい時はお互い様。
気にしないでください。
(催促するように)…『すみません』よりも『ありがとう』の方が嬉しいなぁ…。
ふふ。
言わせたみたいになっちゃって、すみません。
私の方こそ、貴女のような素敵な女性をエスコートさせていただいて、ありがとうございます。
さぁ、着きましたよ。
(空き部屋に入る)
こちらに座っててください。
すぐ水を用意しますね。
(水をコップに入れ、彼女の元に持って行く)
はい。
どうぞ。
この部屋は体調を崩された方が休めるように用意された部屋で、ここのほかにも用意されてるので、時間を気にすることなく、気分がよくなるまでいていただいて構いません。
私も貴女が回復されるまでそばにいますので、安心してください。
言ったでしょう?
「私も休みたかった」って。
それに、貴女から目を離してはいけない気がするんです。
こんなになるまで我慢し続けたんですから、きっと私がいなくなって少ししたら体調が回復していなくても会場に戻ろうとするはず。
…違いますか?
ですよね。
なので、一緒にいさせてください。
(少し沈黙)
あの……不躾なのは承知で伺いたいことがあるのですが…。
……今、お付き合いされている人はいますか?
『いない』…?
本当に?
それはよかった…。
いきなり、プライベートなことを聞いてしまってすみません。
本能に抗えなかったもので…。
先程、貴女とすれ違い、かすかな匂いを嗅いだ瞬間、運命の相手だと確信しました。
人間とか亜人とか、そんなもの関係ありません。
匂いが……本能がそう告げているのです。
どうか、結婚を前提に私とお付き合いしていただけませんか?
返事は今すぐでなくて構いません。
ゆっくり時間をかけて考えてください。
それまで私は貴女に好きになってもらえるように、いろいろ努力しますね。
”いろいろ”は、いろいろです。
その時までの秘密です。
私に目を付けられた以上、逃げられると思わないでください。
絶対好きになっていただきますから。