(夜の散歩中)※最後まで散歩中です。
今日1日、楽しかった?
そっか…。
俺もすっごく楽しかった。
贅沢
だって、君と朝から晩まで24時間ずっと一緒にいられるのはもちろん、有給で会社休んで、皆が仕事してる時に温泉入って、のんびりひと休みした後に、晩ご飯で懐石料理だったんだよ?
この世の贅沢を凝縮したみたいな時間を過ごして、「大丈夫かな?」って思うのは仕方なくない?
まぁ、今回の旅行に向けて、仕事めちゃくちゃがんばったけどさ…。
だとしても、控えめに言って最高すぎ。
今が永遠に続けばいいのにな…。
明日帰らなきゃいけないとか…。
(溜息)はぁ…。
あと1週間とまでは言わないにしても、せめて2、3日はここにいたい…。
今日みたいな、のんびりした時間を過ごしたい。
現実に戻って、忙殺される日々に戻りたくない…。
うぅ…。
頭が痛い…。
(拗ねて)なんで『仮病』とか言うの?
少しくらい優しくしてくれてもよくない?
もしかしたら、ほんとに頭が痛いかもしれないじゃん。
……今のは仮病だったけど…。
分かってる。
たまの贅沢だからこそ、「贅沢だーっ!」って感じるって。
こんな生活毎日して、この解放感を味わえなくなったら、人生終わった気がするし…。
何をご褒美にして、毎日がんばればいいのか分かんなくなりそう…。
そんなのヤダもん。
大人として、ご褒美がなくてもがんばれるようになんなきゃいけないのは分かる。
とはいえ、ご褒美のある・なしで、モチベーションが違ってくるじゃん。
やることやっても何もないのと、やることやったらご褒美があるのとだと…ね?
君だって、俺と一緒でしょ?
今日の日のために、いっぱいがんばってたの知ってるよ?
そんなにがんばってないの?
なのに、毎日残業してたの?
ふふ。
褒められ慣れてないからって、照れてるのかわいい。
また来ようね。
次は2泊3日で。
(彼女が転びそうになる)
おっと……大丈夫?
今日は満月で明るいって言っても、足元には気をつけて。
…子供の頃から思ってたんだけど、満月って不思議なパワーがあると思わない?
見てると力が湧いてくるというか、「うぉー!」って満ち溢れてくるというか…そんな感じの。
そっか…。
ないか…。
俺が狼男だから、そう感じるのかな?
だから、満月を見ると、内に秘めてる力が暴走しちゃうとか…?
今?
今は…。
……ダメ……俺から離れて…っ…。
ガオー!
襲っちゃうぞ!
…なんてね。
びっくりした?
ちょっとくらい乗って来てくれてもよくない?
俺1人でバカなことしてるの、寂しいんですけどー。
うぅん。
そんなつれないとこも、好き。
でも、実際エッチぃことしてる時って止めらんないんだよなぁ。
いっつも暴走しちゃう。
やっぱ、イヤ?
優しくされたい?
今の『イヤ』は、どっち?
口元、手で隠してるから。
何か隠したい時にいつもしてる仕草。
ダメ。
顔、背けないで。
俺の目見て。
ほんとにイヤなら言って?
『察してよ』って思ってるかもだけど、俺、空気読むの苦手で君が本気で嫌がってるって気付かないから…。
イヤなことは絶対したくない。
だから、何がよくて何がイヤか、教えてほしい。
…『回数を抑えてほしい』?
それだけ?
じゃぁ、次から『おしまい!』って教えて。
『今日はここまで!』って。
そこで終わりにする。
できるかできないかは……分かんない。
ただ、今の俺には、かなり難しいってことは言える。
できるようになるためには、君が俺のことを
ちゃんと
最初は強硬手段で
殴ってもいいし、蹴ってもいいから、止めて。
じゃないと、たぶん止まれない。
『なんで?』って言われても…。
止まれないから、止まれないだけ。
最初から暴走するつもりじゃないよ?
時間をかけて優しく愛したいって思ってても、気付いたら「俺のモノにしたい」とか「俺だけを見てほしい」とか、ほんとに大暴走してる時は「孕ませたい」ってことしか考えらんなくなって、君の全部を俺で支配したくなっちゃう。
で、ドロドロのぐちゃぐちゃになってる君を見て、すごく愛おしく思いつつも、興奮しちゃって、頭ん中がもっと君を支配することでいっぱいになって…。
って、その無限ループかな。
だから、回数を抑えられるような『待て』ができるいい子に
……寒い?
くしゃみ、したでしょ?
小さく『くしゅん』って言ったの聞こえたよ。
はい。
俺の羽織、着てて。
いいの。いいの。
俺は平気。
このあと、すぐあったまれる予定だから…。
暑さ寒さも彼岸までって言うけど、夜はだいぶ冷えてきたね。
このまま散歩してて風邪ひいても困るし、風邪ひく前に戻ろっか。
(耳元で)……旅館に戻ったら、さっそく