お・ね・え・さ・ん。
こんな
誰かと待ち合わせ?
その人来るまで、俺も一緒にいていい?
うーわっ…つめたぁ…。
けど、冷たくされたくらいで、諦めたりしないよ。
(彼女がどこかに行こうとする)
ちょっと待ってよ!
どこ行くの?
…お姉さん、訳アリなんじゃない?
なんとなく分かるよ。
こんなとこで1人寂しく
…雰囲気からしてヤケ酒…?
俺でよかったら、話聞くけど…?
ほら。
こういうのって、自分のことをよく知る人よりも何も知らない赤の他人の方が話しやすいって言うじゃん。
ね?
話してよ。
(相槌数回打つ)
……何それ…。
彼氏さん…じゃなくて元彼さん、
だって、お姉さんを見れば分かるよ。
今日の日のために、どれだけ気合い入れてくれてたか…。
浴衣すごく似合ってるし、髪型もメイクも浴衣に合わせてて、とっても綺麗だもん。
それを全部パァにする元彼さんはただのバカだよ。
…悲しい顔しないで。
つらいこと思い出させてごめんね。
せっかくのお祭りなんだし、イヤなことは全部忘れて、お祭り楽しも!
俺と一緒に!
ほらほら。
ビール持って。
かんぱーい!
(ひと口飲む)
おっ!
いい飲みっぷり!
…ねぇ。
お姉さんはこの後どうするの?
ビール飲んで終わったら帰っちゃう?
そっか…。
だったらさ、花火が終わるまでの時間、俺にちょうだい。
そ。
元彼さんと楽しむはずだった時間。
で、その
…できるよ。
その自信が俺にはあるもん。
もし、俺と一緒にいてもいいよって少しでも思ってくれてるなら、俺の手を取って。
別に俺の手を取らなかったからって、
ついでに、ストーカーとかもしないから。
(ドヤァって感じで)そこら辺はちゃんと弁えてます。
(真面目な感じで)お姉さんのささくれた心を少しでも癒してあげたい。
イヤなこと全部忘れさせてあげたい。
ただそれだけなんだよ。
俺みたいなチャラいヤツは、そういうの得意だし。
ほんの
誓って、全然ない!
絶対エッチぃことはしないって約束する!
……どう?
やったっ!
決まりね!
じゃぁ、もう1回乾杯しよ。
今日俺とお姉さんが出会えた奇跡に……かんぱーい!!
(花火が打ち上がる音)※ 「乾杯」と同時に。
超タイミングよくてウケる。
花火も俺たちの出会いを喜んでくれてるのかな?
…なんて。
うん。
やっぱりお姉さんには笑顔が1番だよ。
すっごくかわいい。
ビール、終わった?
なら、もっと近くで花火見よっか。
人多いから、手だけは
はぐれたくないし。
…ありがと。
(耳元で)この夏、最高の夜にしてあげるね。