お
お出かけ?
こんな時間から?
外、真っ暗だよ?
あぁ、飲み会…。
先週言ってたやつだよね。
今日だったっけ?
…そっか。
行くのはいいけど、気を付けるんだよ。
変な人に会うかもしれないから。
俺?
俺は予定ないよ。
この後はご飯食べて、お風呂入って、寝るだけ。
なんで?
あぁ…香水ね…。
うっかり落として、体にかかっちゃったんだよね…。
シャワー浴びて、着替えたんだけど…。
まだ匂い強いか…。
残念だけど、『行ってらっしゃい』のギューとチューはやめとこっか。
だって、ギューしたら、せっかくかわいくお
でも、だからって、ギューしたくないわけじゃないからね!
いつも出かける時はかかさずやってることだから、ほんとはしたいよ。
『じゃぁ、しよ』じゃなくて…。
俺の話、ちゃんと聞いてた?
今ギューしたら、確実に匂い付いちゃうよ?
それでもいいの?
…ほんとに?
じゃぁ、こっち来て。
(彼女を抱きしめる)
はい。
おしまい。
ほら。
離れて。
これ以上はダメだよ。
匂い移り、ちょっとどころじゃ済まなくなっちゃう。
(離れる気のない彼女)
……もう…。
俺が我慢してたってのに…。
(彼女を力いっぱい抱きしめる)
ん?
ダーメ。
俺が全然満足してないもん。
それに、匂いまだ付いてない。
…今日の飲み会男の人もいるんでしょ?
行かせてあげたいんだけど、行かせたくない気持ちも半分って感じでね。
君をギューってしながら、自分と戦ってるの。
「君の自由を奪っちゃダメ」って。
「やりたいことやらせてあげなきゃ」って。
…なんでちょっと嬉しそうなの?
ワガママ言ってるだけなのに…。
そりゃ、普段は言わないようにしてるからね。
ワガママ言って嫌われたくないもん。
嫌われるくらいなら、自分の気持ちを押し殺すことくらい簡単だよ。
言わなきゃダメ?
自分の気持ち。
…分かった。
なら、早速言ってもいい?
このままチューしたい。
ギューしたまま。
しても、いい?
(触れるだけのリップ音)
くれぐれも飲みすぎないようにね。
君の『大丈夫』が大丈夫だった
弱いくせに、調子に乗って飲み過ぎて…。
ベロベロになったら、すぐ人に抱きつくじゃん。
…この抱きつき魔!
相手が女の人ならいいけど、男の人に抱きついてたりしたら、俺怒っちゃうからね?
普段はあんまり怒らないだけで、俺だって怒ることはあるよ。
前に怒ったの?
んー……いつだろう…?
思い出せない。
でも、帰ってきた君の体から男の人の匂いがしたら、ほんとに怒るからね?
どうなるかは教えてあげない。
教えたところで、『
あっ、そろそろ時間じゃない?
(彼女と体を離す)
外暗いから、ほんとに気を付けてね。
行ってらっしゃい。