(店内に向かって)お疲れ様でしたー。
お先に失礼しまーす。
【扉の扉の閉まる音】
えっ…。
なんで君がここに?
待っててくれたの?
疲れてるのに、ありがとね。
でも、ダメだよ。
こんな暗いとこで女の子が1人で待ってたら…。
変な人に絡まれたりしたらどうするの?
危ないんだから、お店の中入ってきたらよかったのに…。
迷惑とか、そんなこと考えなくていいの。
俺の知らないとこで危ないことに巻き込まれてる方がヤダよ。
今度から待つならお店の中に入ってきて。
お願い。
ん。
約束ね。
ちなみに、ここでどれくらい待ってたの?
ふぅーん。
…ほんとに?
実はもっと長い時間待ってたとかじゃない?
なら、いいや。
とりあえず、家に帰ろっか。
(歩き出す2人)
それで、なんで待ってたの?
残業だったってだけじゃないでしょ?
残業でもいつもなら1人で家に帰ってるし…。
なんか仕事中にイヤなことでもあった?
ん?何?
はっきり言ってくれなきゃ聞こえないんだけど。
…かわいい。
『一緒に帰りたかっただけ』なんて…。
そんなかわいいこと言ってると、狼さんに食べられちゃうよ?
…なーんてね。
外では何もしないって。
そういえば、お昼、あれだけで足りた?
途中でおなか減ったりしなかった?
そっか…。
なら、よかった。
(彼女のおなかが鳴る)
あっ……今、おなか鳴った。
どうせ食べてないんでしょ?
もう…。
ちゃんと食べなきゃ体に悪いっていつも言ってるじゃん。
『だって…』じゃないの。
ったく…。
帰ったら、冷蔵庫にある物で軽く食べられるもの作るよ。
小腹を満たすくらいで、ちゃんとカロリーは抑えてね。
食事に関しては頼ってくれていいよ。
君の体の半分くらいは俺が作ってるようなものだしね。
(独り言っぽく)今の言葉、ちょっとエッチぃな…。
あぁ……ニュアンスの問題だから。
分かんなかったら、気にしなくていいよ。
ねぇ。
さっきから手繋ごうとするたびに、手引っ込めるの、何?
俺に対する嫌がらせ?
恥ずかしくなんかないって。
今は、周りに誰もいないんだし。
誰かいたとしても、何にも見てないんだから。
恥ずかしいって思ってるのは意外と自分だけなんだよ。
そうだよ。
皆、他人なんて全然気にしてないの。
だから……ん。
手、繋ご。
ダーメ。
街灯あっても足元危ないんだから。
おっとっ…!
ビビったぁ…。
言ってるそばから
ね?
俺の言うこと聞いて?
怪我してからじゃ、遅いんだから。
素直でよろしい。
明日休みだよね?
だったら、あとは家に帰るだけだし、なるべく明るい道通って帰ろっか。
ちょっと遠回りになるけど。
久しぶりにデートしよ。
夜の散歩デート。
…もちろん、付き合ってくれるよね?