ただいまー。
ねぇ、ねぇ。
俺に渡す物ない?
朝からずっと期待して待ってたんだけど。
えっ……あのさ……まさかとは思うけど、今日が何の日か忘れてないよね?
バレンタインだよ。
バレンタインっ!
『あっ!そっか!』じゃないよー。
朝から期待してた俺、めちゃくちゃバカみたいじゃん。
君からのチョコ、楽しみにしてたのに…。
手作りじゃなくても、君から
せっかくお返し用意してたんだよ?
はい、コレ。
開けてみて。
そ。
口紅…じゃなくて、リップって言うんだっけ?
綺麗な色してるでしょ。
君に似合いそうだなぁって思って、衝動買いしちゃった。
せっかくだし、付けてみない?
いいじゃん。
すぐお風呂入るけど、コレ付けてるところ、早く見たいんだもん。
ね?いいでしょ?
やったっ!
俺が付けてもいい?
じゃぁ、ちょっと目
塗るよ…。
(彼女の唇にリップを塗る)
うわぁ…すっごく綺麗…。
鏡見る?
はい。
ね?
いい色だと思わない?
よかった…気に入ってくれて…。
(触れるだけのリップ音)
君がかわいくって、つい…。
…ハッピーバレンタイン。
このリップ、コスメチョコって言うらしいよ。
唇、ちょっと舐めてみて。
ふふ。
驚いた?
ちゃんとチョコの味するでしょ。
俺も自分で買っておきながら、ちょっと驚いてる。
『ほんとに食べられるリップなんだー』って。
さっき、『お返し』って言ったのは、嘘…。
今日がバレンタインってことも分からないくらい、日付感覚
最近ずっと忙しくしてたもんね。
せっかくのバレンタインだし、俺から君への渡してもいいかなぁって思って、帰ってくる時に買ったんだ。
周りは女の子ばかりで買うの、かなり恥ずかしかったけどね…。
君が喜んでくれて、勇気を出して買った
今日までがんばったご褒美。
『肌荒れひどい』って言ってたけど、チョコって美肌にもいいらしいよ。
たまには自分を甘やかしてあげてもいいんじゃない?
ね?
もう1回塗ってもいい?
今
じゃぁ、目
その方が塗りやすいから。
(再度、彼女の唇にリップを塗る)
(濃厚なリップ音)
…ごめん。
リップ塗ってあげるっていうのは、ただの口実。
君を食べたくて、たまらなくて…。
もう止まれそうにない…。
だって、君にこうやって触れたの、いつ以来か覚えてる?
ほんとは毎日でもイチャイチャしたかったけど、疲れ切って気持ちよさそうに寝てる君を見て、起こさずにそっとしておいたんだよ。
おかげで何日もお
…さすがに、もう我慢の限界。
今日のお返しは用意しなくていいよ。
その代わりに、ワガママ聞いてくれればいいから。
このリップ、俺に塗らせてほしいんだけど…いい…?
ほんとに?
約束だよ?
あーぁ…ちゃんと分かってるのかな…?
今、『リップ塗らせて』って俺言ったよね?
でも、どこに塗るとまでは言ってないの、気づいた?
君のことだから、リップを塗るのは唇だと思ったんだろうけどさ…。
コレ、体中に塗るから。
あーんなところやこーんなところ、いろんなところにたくさんね。
もったいないことはしないから、安心して。
塗ったら、ちゃんと俺が全部舐め取ってあげる。
君ごと、全部おいしくいただきます。
とりあえず、もう少しキスさせて。
君の唇を味わいたいから。
(濃厚なリップ音) ※ キスのままフェードアウトしてください。