なぁーに?
俺、まだ仕事してるんだけど。
『お腹減った』?
なら、自分で作りなよ。
『作って』って…。
もう…。
…仕方ないなぁ。
んー…何かあったっけ?
ヤバ…。
……ロクな物がない。
昨日帰ってくる時に買い物してきたらよかった…。
今日のお昼、ホットケーキでいい?
すぐ作れる物ってそれくらいしかなくて…。
イヤなら買いに行ってくるから、もう少し時間かかるけど…。
ホットケーキでいいの?
分かった。
じゃぁ、ちょっと待ってて。
ホットケーキミックスと…牛乳と…卵をボールに入れて…混ぜてっと…。
うわっ……びっくりするじゃん。
いきなり背中に抱きついてきたら。
『邪魔しに来た』って…。
普通そういうこと堂々と宣言する?
まぁ…いいけど…。
好きにしなよ。
ん?
だって、
背中にくっついてる程度なんて。
もしかして、失敗させようとか思ってる?
この程度の邪魔で失敗するわけないじゃん。
俺を見くびってもらったら困るよ。
さてと、話してる間にタネ完成っと。
今から焼くよ。
ほら、おなかに回してる手、危ないから避けて。
『ヤダ』じゃないって。
今から焼くって言ったじゃん。
火使うから、この位置に手置いてたら熱くなるよ。
ね?いい子だから。
ん。ありがと。
さてと…焼くか。
(ホットケーキを焼き始める)
んー、いい匂いしてきた。
おいしそう。
ふふ。
今”グゥー”っておなか鳴ったでしょ?
鳴ってないの?
ほんとに?
俺優しいから、そういうことにしといてあげる。
ほら、もうすぐ出来上がるからお皿持っておいで。
俺のことはいいから、先に食べて。
おっ、今日もいい焼き色!
仕上げに蜂蜜かけて……はい、どうぞ。
なんで、ほっぺ膨らませてるの?
もしかして、邪魔できなかったのが、そんなに悔しいの?
だから、言ったでしょ。
背中にくっつく程度じゃ邪魔にならないって。
その程度で失敗するわけないじゃん。
それよりも食べてみてよ。
君が邪魔してもいつも通り作れてるか感想聞かせて?
できたてだから、口の中
…どう?
おいしい?
こらっ!
口の中に物を入れたまま
もぅ…。
そんなに頬張らなくても取って食べたりしないよ。
まだタネあるし、たくさん焼いてあげるから落ち着いて食べな。
ん?
俺のホットケーキが1番おいしいの?
…ありがと。
なんか面と向かってそんなに『おいしい』を連呼されるとちょっと照れる…。
うるさいしっ!
そうやって
あーぁ……口の横に蜂蜜付けて…。
ちょっとジッとしてて。
取ってあげるから。
(蜂蜜を舐め取る)
…はい、取れた。
何びっくりしてるの?
たまにはこういう刺激的なのもいいでしょ。
それよりも、蜂蜜ってこんなに甘かったっけ?
あぁ…君に付いてたから甘くなったのかもね。
次、口の横に蜂蜜付けてたら、舐め取るんじゃなくて、君自身を食べちゃうからね。