一年がんばった彼女にサプライズプレゼントを渡す犬系サンタ

(彼女の部屋の鍵が開く)

(サンタ、彼女の部屋に入る)

お邪魔しまーす…。

(サンタ、起きている彼女に気付く)

あれ?
起きてる?

(彼女、サンタを不審者だと思って通報しようとする)

あぁー!
待って!待って!
不審者でも、変質者でも、泥棒でもないからっ!

とりあえず電気()けてくれない?
そしたら、きちんと説明するよ。

(彼女、電気を点ける)

電気()けてくれて、ありがとね。

いきなりだけど、クイズです!
僕は誰でしょうか?
ヒントは、この姿を見れば分かるでしょ?

正解っ!
サンタさんでーす。
ちなみに、本物。

(彼女、不審に思う)

……詐欺かなんかだと思ってる?

一応証明書も持ってるよ。
見る?

はい、どうぞ。

(サンタ、彼女に渡す)

どう?
少しは信じてくれた?

(彼女、サンタに返す)

『うん』って、言うわりに微妙な顔…。

ん?
親御さんがサンタさん?

あぁ…あれは、僕の代理をしてくれてるんだよ。
僕のほかにもサンタはいるけど、限られた時間の中で世界中の子供たちにプレゼントを渡すとか普通に無理。
だから、親御さんたちがサンタの代理をしてくれてるの。
自分の子供が悲しい思いをしないように、って…。

で、僕らが行くのは親のいない子たちやがんばってる大人のもと。

なので、君のところにやって来たってわけ。

…簡単に説明したけど、分かった?

なんとなくでも理解してくれてればいいよ。

じゃぁ、ほかの家にも回んないといけないから、パパッと済ませちゃおっか。

両手出して。

メリークリスマスっ!
僕からのプレゼントっ!

…その顔やめて。

大丈夫だよ。
盗聴器とか、小型カメラとか仕込んでないから。

ほんとにただのプレゼント。
信じらんないなら、今すぐ開けて確認してみて。

(彼女、プレゼントを開ける)

…それ、君がずっと欲しがってたものでしょ?

分かるよ。
だって、サンタだもん。

……『大人だからプレゼント貰えないと思った』?

(ちょっとムッとして)そんなの、どこの誰が決めたの?

さっきも言ったけど、僕らはがんばってる大人のもとにも行くの。
毎日毎日イヤなことも我慢してがんばってる人に、プレゼントがないわけないじゃん。

……今年一年よくがんばりました。

ふふ。
いい笑顔。

嬉しい?

なら、よかった。

僕たちサンタは、その笑顔を見たくて毎年プレゼントを配ってる。
大人だろうと子供だろうと関係なくね。

さてと、プレゼントも渡したし、そろそろ失礼するね。
次の家に行かなくちゃ。

もう……そんな寂しそうな顔しないで。
一年がんばったら、来年また会えるから。
ね?

また明日から大変な日が続くけど、無理しないこと。
たまには自分で自分を甘やかすこと。

この二つ、約束できる人ー?

ん。
いい返事。

右手、出して。

(サンタ、彼女の手の甲にキスをする)

いい返事をしてくれたお礼。
君にささやかな幸せが舞い降りるおまじない。

(ドヤァな感じで)効果はバツグンだから、期待していいよ。

(ちょっと寂しそうに)…それじゃぁ、行くね。

(サンタ、出ていく)

(サンタ、戻ってくる)

あとひとつ、言い忘れてた!

勝手に開けた僕が言うのもなんだけど、戸締まりはしっかりね。
それだけ。

じゃ!

(サンタ、出ていく)