(彼氏、服が大量に詰まった袋を持ってやってくる)
…よいしょ、っと…。
ふぅー。
片付いた。片付いた。
ん?
この服の山?
最近新しい服を買ったからってのもあるんだけど、クローゼットに服が収まらなくてさ…。
いい機会だし、ここ1年着てない服は全部捨てようとまとめたら、この山…。
んー……まぁ、たしかにもったいないか、もったいなくないかで言えば、もったいない気はする。
でも、1年着てない服をこのまま残してたって今後着る可能性はかなり低いじゃん?
だったら、思い切って全部処分した方がよくない?
スペースさえあれば、また新しい服も買えるしね。
で、この服の山だけど、今度のゴミの日に捨てるから、このままにして置いといて。
かなり重いから俺が捨てる。
(彼女、本当に捨てるのか確認してくる)
うん。
ほんとに捨てるよ?
なんで?
……俺の服が欲しいの?
別にいいけど…。
(彼女、彼氏の捨てる服の入った袋を漁ろうとする)
え!?
ちょっと待って!?
今のって『この袋の中の服が欲しい』って意味!?
…それはあんまりオススメしないなぁ…。
だって、ほんとに碌な服ないよ?
襟のとこが伸びてダサくなってるのとか、色
「はい、どうぞ」って譲ってあげられるような、まともな服はほとんど入ってないよ?
そんなゴミ同然の服でもいいの?
(彼女、大きく頷く)
……君がいいなら、いいよ…。
(彼女、袋の中から彼の服を取り出し始める)
…なんか嬉しそうだね。
俺が「いいよ」って言ってから、ずっと顔がニヤついてる。
そんなに俺の服が欲しかったの?
ふぅーん。
何のために?
普通に考えて、俺の服は君には大きすぎるし、何か目的がなきゃいらないじゃん?
あっ!
分かった!
エッチぃことするために欲しいんでしょ?
そうでしょ?
それならそうと…。
(彼女、服を漁る手を止めて全力で否定する)
えぇー。
全力で否定するとか怪しい…。
ほんとのこと言ってごらん?
別に怒ったりしないから。
……悲しいなぁ…。
俺としては、エッチぃことで使ってくれても全然アリなのに、『ぜっっっっっっったいに使わない』とか…。
傷ついた…。
……謝っても許してあげない。
それくらい傷ついた。
許してほしいの?
…どうしても許してほしかったら、今度泊まる時に彼シャツしてよ。
じゃなきゃ、許してあげない。
(彼女、理由を聞いてくる)
(機嫌直して)一度やってみてもらいたかったんだ。
『エロさ半端ない』って話を聞いてから、どんなもんかなって興味あって…。
俺の服あげる代わりに、ね…?
ほら。
何事もギブ・アンド・テイクでしょ?
一方的に貰うばかりでは不公平じゃない?
ふふ。
やった。
……その約束、忘れないでね?
ほら。
手、止まってるよ。
服選んで。
(彼女、服選び再開)
さてと……俺も一旦部屋に戻ってこよ。
違う。違う。
片付けじゃなくて、俺も君に着せる服、選んでこようかなって思って…。
(耳元で)やっぱり着せるなら、特別な1着を着てほしいからね。
(彼氏、上機嫌に彼女のそばから離れる)