自分の気持ちにケジメをつけるためにチョコを渡す近所のお姉ちゃん

(お姉ちゃん、彼の家の前で待っている)

やーっと帰ってきた。
こんな時間まで、どこで何をしてたのか言いなさい。

……なーんてね。

今日も残業?
そんなに、やらなきゃいけないことだらけなの?

がんばるのはいいけど、無理はしちゃダメよ?
『少しくらい…』って、いつも無理するんだから。

(ドヤァな感じで)ふふん。
お姉ちゃんは何でも知ってますぅー。
君がこぉーんな小さい時から見てきたんだもん。

……で、その紙袋って…。

……チョコ…。
いくつ貰えたの?

……そう。
よかったね。

ん?
私?

私は……ただ君と話がしたかっただけ。
最近全然姿見ないし、「元気にしてるかな?」って思ったからさ…。

それだけのために家の前で待ってたっていいじゃん。
誰にも迷惑かけてないんだし…。

風邪なんかひかないよ。
こう見えて、体は丈夫なの。

(くしゃみ)クシュン

大丈夫、大丈夫。
ちょっと鼻がムズムズしただけ…。

え?
後ろに隠してるもの?

何、それ?
隠してなんかないよ。

隠してないってば!

あっ…!?

(お姉ちゃん、チョコの入った紙袋を落とす)

(お姉ちゃん、慌てて拾う)

(やけくそな感じで)……話がしたかっただけ、なんて嘘…。
君にチョコ渡そうと思って、ずっと待ってたの。

でも、そのチョコ貰ってるなら、私のチョコなんかいらないでしょ?

だって、それ、買うまでに何時間も並ばないといけないので有名なとこのじゃん…。
くれた子の気持ちそのものって感じ…。

これは自分で食べるから、気にしないで。

ちょっ……!?

(彼、お姉ちゃんから紙袋を奪う → お姉ちゃんが取れないような高い位置に持ち上げる)

チョコ、返して!
私の方が背が背小さいからって、高いとこに持ち上げるのはズルい!

それは君にあげるチョコじゃないの!
私が自分で食べるチョコなの!

(お姉ちゃん、取り返そうとする → 取り換えすのを諦める)

……なんで意地悪するの?
今までこんなことしなかったのに…。

……そんなに私のチョコが欲しいならあげる。
その代わり、君のお姉ちゃんもやめる…。

何でも何も……そのチョコは私の気持ち…。
……ずっと君が好きだったの…。

ふふ。
気付かなかった?

だろうね。
バレないように隠してたんだもん。

(開き直って)あーぁ、一生言わないつもりだったのに…。
言っちゃった…。

君がチョコを奪ったりするからだよ?
ほんとに、もう…。

(晴々として)おかげで、気持ちの整理がついてスッキリした。
こんなにスッキリした気持ちになれるなら、もっと早く言えばよかった…。

ごめんね。
変なこと言って…。

(独り言っぽく)……これで次に進める…。

……お見合いするの。
今週末。

『いい加減身を固めなさい』ってお母さんに言われて、勝手にセッティングされちゃった。

んー……いい人かどうかは会ってみなきゃ分かんない。
写真で見た感じは悪い人ではなさそうだったよ。

気は乗らないけど、仕方ないよね。
君のことが好きすぎて、今まで彼氏作んなかったんだし…。

行かないわけにはいかないよ。
相手がいる話だもん。

断るにしても、一応顔は出さないと…。

(彼、お姉ちゃんを抱きしめる)

(お姉ちゃん、彼の腕の中でもがく)

ねぇ。
やめて?

抱きしめられたら、せっかくケジメつけた気持ちが揺らいじゃう…。

いやいや。
『俺が幸せにする』なんて、軽々しく言うもんじゃないよ?
そういうことは、ちゃんと好きな人に言いなさい。

……え……私のことが、好き…?

嘘…。

ほんとに…?

この気持ち、諦めなくていいの?

君のこと、ずっと好きでいていいの?

(お姉ちゃん、彼に抱きつく)

……嬉しいっ…!

(冷静に)とは言っても、お見合いは、とりあえず行ってくるね。
で、ちゃんと断ってくる。
『彼氏がいるので…』って。

実際会ってみて、素敵な人だなぁって思ったとしても、ほかの男の人に目移りしたりしないよ。
私の隣は君以外考えらんないもん。

(幸せいっぱいな感じで)……ずっとずっと、一緒にいようね。

(触れるだけのキス)※省略可