大好きな先輩と一緒にイルミネーションを見たくて甘い悪魔の囁きをする後輩

(パソコンのキーボードを入力する音)

…これで、OKかな…?
先輩、確認してもらってもいいっすか?

(不安そうに)……どうっすか?
誤字・脱字、そのほかの不備とか…。
大丈夫そうっすか?

ってことは、これで終わり…?

……やったーっ!
やっと終わったーっ!

先輩、ありがとうございました!
せっかくのクリスマスの夜に手伝ってもらって、すみませんでした…。
あとは俺がやっとくんで、早く帰ってください。

だって、クリスマスの夜は彼氏さんとイルミネーション見に行くって言ってましたよね…?

えっ……別れた!?
なんで?
あんなにラブラブ自慢してたのに…。

……彼氏さんの浮気が原因…。

(めちゃくちゃ申し訳なさそうに)…すみません。
立ち入った話聞いちゃって…。

(話を変えるように明るく)とはいえ、彼氏さん……いや、元彼さんはバカっす。
先輩ほどのいい女を捨てたこと、後悔しますよ。
絶対にね。

だから、もっと自分に自信を持ってください。
先輩は俺が出会ってきた中で1番のいい女っすから。

…………先輩、俺ね、小さい頃祖父母の家に預けられてたんすよ…。
その時に、祖父から言い続けられてた教えが、『「この人だ!」って思った女に自分以上の男はいないと思わせた上で、自分の人生を賭けて愛し抜け』。

当時は何のことか全然分かんなかったけど、祖父母を見ててなんとなく理解したっていうか…。
ぶっちゃけ、見てるこっちが恥ずかしくなるくらい、祖父がどれだけ祖母のこと愛してるか伝わってきて…。
そういうのずっと見てたからか、「愛し合うのって素敵だなぁ。俺もそんな人に出会いたいなぁ」「いつかサンタさんが連れてきてくれるかなぁ」って思ってたら………サンタさんが連れてくる前に出会っちゃいました。
俺の人生を賭けて愛し抜きたい人に…。

大丈夫っす。
急いで会いに行かなくても…。

今、目の前にいるんで…。

(すごく真摯で真面目な感じで)……先輩。
元彼さんと別れて傷ついてる時に、こんなこと言うのは卑怯だと思いますが、言わせてください。

……先輩が好きです。
初めて会った日から、ずっと…。
今すぐは無理でも、いつか俺を彼氏にしてくれませんか?

(自虐っぽく)……って、困りますよね。
いきなりこんなこと言われても…。
今の話は忘れてくださ…………(間抜けな感じで)えっ?
前向きに検討…?
俺にもワンチャン、彼氏になるチャンスがあるってこと?
これ、夢じゃない?

(自分で自分のほっぺをつねる)

……痛い…。
夢じゃない…。

……どうしよう……嬉しすぎてどうにかなりそう…。
一生分の運、使い果たしたかも…。

(ちょっとだけ拗ねて)笑わないでくださいよー。
仕方ないじゃないっすか…。
テンパっちゃうくらい嬉しいんすもん。

……あっ!
ねぇ、先輩。
このあと、時間あります?

だったら、俺と初デートしませんか?

元彼さんと一緒に見に行く予定だったイルミネーション、今から見に行きましょ?

大丈夫っすよ。
今から行けば、ギリ間に合いますって。

『いや…』も『でも…』もナシっす。

(諭すように)…せっかくのクリスマスっすよ?
これから好きになるかもしれない人と一緒にいたくないんすか?
俺はずっと一途に思い続けてる人と一緒にいたいっす。
できることなら、イチャイチャも…。

先輩は、どうしたいっすか?
素直な気持ち、聞かせてください。

…迷ってるからって、無言はダメっすよ。
ちゃんと『行く』か『行かない』で答えてください。

(悪魔の囁きっぽく)……俺を選んで後悔させないから、今は『行く』って、言って?