(車に乗り込む二人)
(車のドアを閉める)
ふぅ…。
荷物積むの手伝ってくれて、ありがと。
疲れてるのに歩かせちゃってごめんね。
ある程度買い込むだろうなぁってあらかじめ予想してたから、入口から遠い、周りに誰も車を停めないような場所に停めたんだ。
その方がドア全開にして荷物を積み入れることになっても、気にしなくてすむでしょ?
とはいえ、実は、途中から不安だったんだよね…。
買いすぎかなぁ、って。
…なんとか荷物積められてよかったぁ…。
(少し間を開ける)
ん?
あぁ……うん。
帰るよ。
…帰るんだけどね……ちょっとだけ待ってもらってもいい?
気持ち悪いとか体調悪いとかじゃなくて、我慢の限界が…。
君のリップの色……前に僕がプレゼントしたヤツだよね?
それプレゼントした時、僕が言ったこと覚えてる?
そ。
「キスしたい」。
付き合い始めてそれなりに経つけど、今まで何もしなかったのは、君の気持ちが僕の気持ちと同じになる時を待ってたから。
ほんとは、君からOKの返事をもらった瞬間にしたかった。
会うたびに、いっぱいしたかった。
……でも、もういいんだよね?
キスされてもいいから、付けてきてくれたって受け取るけど……いい?
(頷く彼女)
(数回触れるだけのキス → 濃厚なリップ音)
ごめん。
今まで我慢してたから、嬉しくて抑えらんなかった…。
あーぁ…涙目にもなっちゃったね…。
せっかくのメイクが台無しになっちゃう…。
息がうまくできなくて苦しいからか、僕の胸トントン叩いて…。
その仕草が、あまりにもかわいすぎるから意地悪しちゃった。
……えっ……『もっと』?
今のキス?
(自分を抑えるような溜息)はぁ…。
(ちょっとイラついてるように)今まで付き合ってきた彼氏たちにも、そんな風におねだりしたの?
潤んだ目のまま上目遣いで…。
別に怒ってないよ。
ただ聞いてるだけ。
どうなの?
したの?してないの?
どっち?
(嬉しそうに)そっか。
してないんだ…。
じゃぁ、今のおねだりは、僕が初めてってこと?
ふぅーん。
僕とのキスが気持ちよくて、もっと欲しくなっちゃったんだ…。
ふふ。
なら、全力で君のおねだりに応えてあげないとね。
(濃厚なリップ音)※ しつこく長めにお願いします。
はい。
今はここまで。
シートベルトして。
車出すよ。
…家に着くまでの時間で、心の準備しといてね。
たぶん、荷物下ろさずに家に入って、そのまま君のこと抱き潰しちゃうと思うから。
それくらい我慢の限界…。
「優しいお兄ちゃんじゃない」って前に言ったよね?
好きな子の前では自分で自分を抑えることのできない、ただの男……というより、ただの狼かな。
……もしかしなくても、僕が抱き潰すとかあり得ない!とか思ってる?
どう思おうと君の勝手ではあるけど、ちゃんと心の準備してないと、あとで後悔するのは君だからね?
(耳元で)どうなっても知らないから。
(エンジンをかけて、発進する)