(喫煙所でタバコ吸ってる)
(部下が来る)
…どうした?
お前が喫煙所に来るなんて珍しいじゃん。
タバコ嫌いじゃなかったっけ?
嫌いなのに、なんで来た?
ふぅーん。
外の空気吸いたかった、か…。
だったら、別のとこ行けよ。
ここだとタバコの匂いやら煙だらけだぞ?
……お前がいいならいいけど…。
…楽しく飲んでるか?
ん。
なら、よかった。
ってかさ、今日、お前調子悪いだろ?
仕事中全然集中できてなくて、ずっとうわの空だったし、さっきだって、お前が飲むには強い酒ばっか飲んでるし、ペース早いし…。
何があったかは知らんが、あんま一人で抱え込むなよ?
…俺でよかったら、話聞くけど…?
無理に、とは言わない。
…よかったら、だけど…。
おう!
どんとこい!
(相槌数回)
自分の彼女に対して『賞味期限切れ』って…。
そんなヤツに、お前はもったいない。
二度とそのバカには会うな。
(隠しきれない怒りのままに)そもそも、歳取るなんて人間生きてりゃ当たり前だろ。
若い子がいいってんなら、なんで最初からそっちと付き合わなかったんだよ。
(少し冷静になって)今はつらいかもしんないけど、別れて
これからは自分のために時間使うこと。
いいな?
(溜息)はぁ…。
お前なぁ…。
その耳かっぽじって、よーく聞け。
お前が賞味期限切れなわけない。
バカの言うことを真に受けんな!
お前は今よりももーーーっといい女になる。
絶対に。
俺が保証する。
っつーか、そんなこと言ったら俺なんかどうなるんだよ。
とっくの昔に賞味期限切れてるわ。
仕事人間すぎるが
ん?
言ってなかったっけ?
彼女いないって。
いた時もあったけど、長続きしなかったんだよな。
長くて……半年?
休みの日も急に仕事になったりしてデートもほとんどしなかったら、
どんなに仕事で評価されても、プライベートじゃゼロ評価なわけ。
笑えるだろ。
お前にはお前に
…はぁ!?
お前が俺の彼女に…?
ない。ない。
さすがにいくら恋と縁遠いっつっても部下に手出したりしないって。
んー、でも、まぁ……お前は、普通にかわいいし、気が
彼女にできるならしたい……と思う。
あっ!
今のはセクハラでも何でもないからなっ!
勘違いすんなよ!
……バーカ。
なにが『じゃぁ、私と付き合ってください』だ。
寝言は寝て言え。
付き合う・付き合わないは一旦置いといて、今はこの間までの恋にケジメをつけてこい。
で、いつもの冷静なお前に戻って、これからのことをしっかり時間をかけて考えろ。
俺とのことは、それから。
いいよ。
いくらでも待っててやる。
お前が答えを出す、その日まで。