(彼女がパソコンのキーボードを叩いている)
お疲れ様。
そろそろ終わりそう?
ん。
じゃぁ、終わるまで待ってる。
ヤダ!
君を置いて帰るとか、絶対ヤダ!
だって、今日は一緒に帰りたい気分なんだもん。
ごめん、ごめん。
間違えた…。
「今日は」じゃなくて「今日も」だった。
いいじゃん。
離れてた時間を少しでも満たしたいから、許して…?
ってか、手止まってるよ?
動かさないと、いつまで
えぇー!?
俺が来たせいなの!?
話しかけたのは確かに俺だけどさ…。
まぁ、いいや。
大人しく待ってるから、俺のことは気にしないで作業続けて。
(彼女が再度パソコンのキーボードを叩き始める)
(少し間を開ける)
ん?何?
…えっ!?
俺、そんなにニヤニヤしてた?
ん゛ー……ダメだなぁ…。
君を見てると、つい顔が緩んじゃって仕方ない…。
真面目に取り組んでる時の真剣な顔、自分のがんばりが評価されて嬉しくてパァって花が咲いたみたいな笑顔、恥ずかしくてちょっとツンツンしてる時の顔、何でもかんでも自分の中に溜め込んで限界超えた時に誰にもバレないところでこっそり泣いてる時の顔、ベッドの上でトロトロに
あっ!
ちなみに、顔ばっか
今の話は、ただ君の表情が好きって話で…。
…分かってくれてるなら、それでいい…。
真面目な顔とかたまに見せる笑顔は外でも見れるけど、それ以外は俺しか知らないわけじゃん?
彼氏の特権じゃないけど誰も知らない君を知ってる、それだけ俺には気を許してくれてる、って嬉しくなっちゃって…。
そうだよね。
俺もびっくり。
自分の中にこんなにも独占欲があるなんて思ってもみなかった。
今まではそこまで欲に忠実なタイプだとは思ってなかったんだけど、君と付き合い始めて、自分がいかに
ひとつ手に入れても、すぐに次が欲しくなる…。
もっと、もっと…!って。
……ねぇ。
今夜、泊まりに行ってもいい?
自分の家に一人でいるの、なんか今日はイヤ。
一緒にいたい。
寂しいとかじゃなくて……イヤなもんはイヤなの!
一人でいたくない!
それだけ!
ね?
いいでしょ?
……エッチぃこと、しちゃダメなの…?
…分かった。
なるべくしないように努力します…。
絶対しないとは言えないよ。
俺も男だし…。
好きな子とひとつ屋根の下にいて、何もしないのは相当我慢しないといけないわけで…。
…あ…。
じゃぁさ、君がその気になったとしたら、シてもいい?
そういうことでしょ?
俺がその気になって君を襲ったらアウト。
でも、君がその気になってOKすればセーフってことだよね?
(強調して)ね?
ふふん。
それなら、俺の得意だから任せて。
絶対その気にさせるから。
……今夜が楽しみだね。