おかえり。
遅かったね。
(彼女:「うん。残業してて…」)
へぇー。
珍しいこともあるんだね。
いつも定時で帰る君が残業なんて。
何かあったの?
(彼女:「後輩の仕事、手伝ってた」)
…ふぅーん。
後輩の仕事手伝ってたんだ。
その後輩って、君が教育係してたヤツ?
(彼女:「そうだけど…?」)
なんで、手伝ってたの?
君が手伝う必要なくない?
(彼女:「初めての仕事で時間かかってたから…」)
初めてだろうがなんだろうが、仕事が遅いのは自分の責任なんだから、他人の手を借りる必要ないじゃん。
自分のケツぐらい自分で拭けっての。
甘やかしすぎだよ。
ってか、後輩だからって油断してない?
君の全身から男物の香水がする…。
(彼女:「嘘…」)
嘘じゃないよ。
あのさ……こんなこと聞きたくないんだけど、ほんとに何もなかった?
ただ残業しただけ?
(彼女:「ほんとに何もないよ。信じて…」)
…ん。
分かった。
君を信じる。
けど、俺の腕の中にきて?
とりあえず、その匂い、少しでも俺の匂いで上書きしたい。
(彼女を抱きしめる)
(彼女:「気に入らない…?」)
気に入らないに決まってるじゃん。
俺の彼女なのに、他の男のものみたいですっごいイヤ。
……もう、アイツに付き合うのはやめて。
残業もだけど、飲み会とかにも誘われても行かないで。
アイツ、君のことが好きなんだよ?
…やっぱ気付いてなかったんだ。
周りの人は皆知ってるよ。
もちろん、俺も。
少し前に話してるの、聞いちゃったんだ。
『わざと仕事遅らせて手伝ってもらうんだ』って。
それから、なるべく2人きりにさせないようにって気をつけてたんだけど、まさか今日だったとは…。
(彼女:「会社だし、大丈夫だって。そんなことする子じゃないし」)
『大丈夫』って、『そんなことする子じゃない』って、何を根拠に言ってるの?
場所なんて、関係ないんだよ?
男がその気になれば、どこでだって襲うんだから…。
(彼女:「怒ってる…?」)
怒ってるよっ!
君が、あまりにも危機感なさすぎなんだもん。
相手は男なんだよ?
ちょっと本気出されたら力で勝てないんだよ?
そこんとこ、分かってる?
(彼女:「分かってるよ」)
……分かってるのに、なんで、そんなにアイツの肩持つの?
実は、アイツのことが好きだったりする?
だって、さっきから『初めてで慣れない仕事だったから…』とか『そんなことするような子じゃない』とか、俺の話なんか全然聞いてくれずに、アイツを
(彼女:「違うの…」)
違うって言うなら、約束して?
アイツと2人きりにはならないって。
まぁ、仕事中は仕方ないと思うよ?
絶対に関わらないでいることなんて不可能だと思うし…。
そこんとこは、譲歩する。
…ほんとは、したくないけど…。
でも、それ以外では2人きりにならないって、約束して。
お願い。
(彼女:「…約束する」)
ん。
約束。
(触れるだけのリップ音)※ 音なしでも可
さて、お風呂入ろっか。
(彼女:「お風呂入ったんじゃ…?」)
うん。
先にお風呂入ったけど、もう1回入る。
(彼女:「なんで?」)
だって、一緒に入って綺麗にしてあげたいから。
(彼女:「恥ずかしいよ。自分でできるからいい」)
ダメ。
恥ずかしいとか、そんなのは関係ない。
今日は一緒に入るの。
で、俺がこのイヤな匂いを消して、汚い手で触られたところを綺麗にしてあげる。
俺の手で隅々まで洗って、俺の目で綺麗になったことを確認しないと気が
(彼女:「エッチぃことはしないでね?」)
エッチぃことをしないって約束はできないなぁ。
気分が乗っちゃったら、しちゃうかもだし…。
まぁ、なるべくやらないようにしてあげるけど、期待しないで。
もうこんなことされたくなきゃ、アイツと2人きりにならないようにね?