(彼女の部屋のドアをノックする)
おい。
いつまで起きてんだよ?
もう日付変わったって気付いてんのか?
(彼女:「えっ!?もうそんな時間?」)
(溜息)はぁ…。
だと思った。
一旦やめて、そろそろ寝るぞ?
(彼女:「んー、あとちょっとだけ…」)
はい、残念。
お前の『あとちょっと』は聞けねーんだわ。
(彼女:「何で?」)
今の『あとちょっと』で、今月何回目だと思ってんだよ。
(彼女:「2回くらい…?」)
んなわけねーだろーが。
今ので5回目だ。5回目。
その
(彼女:「…何で知ってるの?」)
『何で?』って、お前がベッドに来るの、ずーっと待ってたからに決まってんだろ?
いくら待っても来ねーから部屋まで見に来てみれば、超真剣な顔して仕事してるし…。
そんなにがんばってるヤツ、さすがに止めらんねーじゃん?
だから、今までは静かに見守ってた。
けど、もう無理。
これ以上は体がもたねーって。
仕事だって昨日からほとんど進んでねーし…。
それってさ、全然集中できてねーからじゃねーの?
考えててもボォーっとしたり、作業しても無意識に手が止まったり、違うことしてたり…。
……違う?
(彼女:「…違わない…」)
(促すように)ほら。
仮眠でいいから、とりあえず寝るぞ?
(彼女:「今日はほんとにあとちょっとで終わるから。終わったら、ちゃんと寝るから」)
何が何でも、仕事やめるつもりはねーんだな?
……分かった。
(濃厚なリップ音)
(彼女:「…ヤダ…やめて…」)
うっせー。
黙ってろ。
(濃厚なリップ音)※長めにお願いします。
(彼女:「いきなりキスとかズルい…」)
俺が頼んだってのに、聞く耳ももたねーお前が悪い。
(彼女:「だって…」)
(イラついて)だってじゃねーんだよ。
こっちは寝れてねーのとか、なんかもう……いろいろと限界なんだっつーの!
(彼女:「…寝れてなかったの?」)
そ。
付き合う前に戻った感じ…。
ちょっとした物音で目覚めて、ちゃんと寝たって気がしねー。
お前が隣にいたら、そんなこともなく爆睡できるのにな…。
(彼女を抱きしめる)
(切実な感じで)「お前のため」みたいな偉そうなこと言ったけど、俺のために一緒に寝てくんねーか?
朝までずっとそばにいてくれよ。
(彼女:「…そんな言い方されたら、断れないじゃん」)
ん。
サンキューな。
じゃぁ、特別にベッドまで連れてってやるよ。
(彼女:「いいよ。自分で行けるし」)
いいって。
今日だけの特別…な?
(彼女:「じゃぁ…お言葉に甘えて…」)
(彼女をお姫様抱っこする)
連れてく対価はあとできっちり貰うから。
(彼女:「今頃そんなの言うの、ズルい!」)
バーカ。
うまい話には、裏があると思えよ。
こんなの、小学生でも知ってる常識だろ?
(彼女:「……何するの?」)
『何するか』なんて、ひとつしかなくね?
真夜中に大人がいろいろ…っつったら、なぁ?
(彼女:「ヤダ!下ろして!」)
おっと…あっぶねーな。
抱きかかえてる状態で暴れんな。
落ちて怪我しても知らねーぞ?
俺の腕の中に捕まった時点で、そう簡単に逃がすわけねーじゃん。
お前の声も、体力も、全部まとめて俺が奪ってやるよ。
ぐっすり寝るためにな。
(触れるだけのリップ音)※省略可