小鳥遊きの\DEADMAN
voice:小鳥遊きの\DEADMAN
狐尾使ワギ
voice:狐尾使ワギ

最後のデートでも先輩を最優先する一途な後輩

(遊園地にて)

あぁ、楽しかったぁーっ!
絶叫系、制覇しちゃいましたね。

 (先輩:「そうだね」)

先輩大丈夫っすか?
俺のペースに合わせて、絶叫系乗りまくっちゃったから…。

 (先輩:「うん。大丈夫」)

そっか…。
大丈夫なら、よかったっす。

けど、ちょっと休憩にしません?
はしゃぎすぎて疲れちゃいました。

 (先輩:「いいよ」)

ちょうどそこにベンチあるから座りましょうか。

(ベンチに座る2人)

ねぇ、先輩。
いきなりなんすけど、靴脱いでもらっていいっすか?

 (先輩:「イヤ」)

『イヤ』じゃないっすよ。
いいから、脱いでください。

(先輩の前に跪く)

先輩が自分で脱いでくれないなら、俺が脱がしますよ?
それでもいいんすか?

 (先輩:「分かったよ…」)

(先輩、靴を脱ぐ)

靴脱いだら、靴下も脱いでくださいね。

言っときますけど、俺に隠し事しても無駄っすよ?

…やっぱり……靴ずれしてる。

 (先輩:「いつ分かったの?」)

気付いたのは、最後に乗ったジェットコースターに向かう途中っすね。
歩き方がおかしいなって…。

先輩が何も言わないからそっとしてたけど、これ以上は無理っす。
痛そうにしてる先輩、見てらんない…。

このままで待っててくださいね。
今、(絆創膏ばんそうこう)貼るんで。

 (先輩:「絆創膏なんか持ってきてたの!?」)

念のためというか、お守り程度のつもりで用意してたんすよ。
もしもの時に、少しでも先輩の役に立ちたくて。

 (先輩:「君だって疲れてるんだし、自分で貼るよ」)

ん?
あぁ…「疲れた」ってのは、嘘っす。

先輩を休ませるための(口実こうじつ)

ほら。
動かない。

ジッとしてて下さいね?

(先輩の足に絆創膏を貼る)

これでよし……っと。
靴、履いてみてください。

痛み、どうっすか?

 (先輩:「さっきよりはマシかも…」)

ちょっとでもマシになってよかったっす。
じゃぁ、帰りましょうか。

 (先輩:「えっ!?なんで!?」)

『なんで?』じゃないっすよ。
(怪我けが)してるんだし、帰る一択っしょ?

 (先輩:「ヤダ。まだ帰りたくない」)

ダメっすよ。
今でこそ、この程度の靴ずれで()んでるけど、無理したらもっと(ひど)くなっちゃいますって。
ぐちゅぐちゅになって、歩けなくなってもいいんすか?

 (先輩:「イヤだけど…」)

……先輩は、やっぱ優しいっすね。
今日がお試し期間最後の日だから、俺のためにデート続けようとしてくれて…。

でも、もういいんすよ。
この3ヶ月間、すっごい楽しかったっす。
ありがとうございました。
最後に先輩とデートできて、最高の思い出になりました。

明日からは先輩・後輩として、気持ち切り替えますんで、安心してください。

 (先輩:「最後じゃないし…」)

…えっ…?
ちょっと待って…。
『最後じゃない』って…マジっすか?

 (先輩:「うん」)

俺、先輩の今の言葉、いいように受け取りますよ?

 (先輩:「いいよ」)

改めて言います。
…俺と付き合ってください。

 (先輩:「…はい」)

…っしゃー!!
ヤバい…泣きそう…。

 (先輩:「大袈裟だなぁ」)

だって、絶対望みないと思ってたから…。

 (先輩:「じゃぁ、デートの続きしよ?」)

…もう。
せっかくのムードが台無し…。

デートの続きなら、言わなくてもしますって。
これから先輩の家まで送るんすから。

あれ?
先輩、知らないんすか?
家に帰るまでがデートなんすよ?

遊園地デートはここでおしまい。
また今度っす。

時間は、これからたくさんあるんすから、今は靴ずれを治すことが1番。
で、治ったら、また来ましょ?

今日のデートのリベンジしに。
ね?