(鼻歌歌ってる彼)
(彼女:「ねぇ、ねぇ」)
ん?
なぁーに?
今大事なとこだから邪魔しないでね?
(彼女:「マニキュア?」)
そ。
マニキュア塗ってんの。
ふふ。
うまく塗れた。
(彼女:「お出かけの予定があるの?」)
別に特別な予定とかはないわよ。
でも、ないからこそ、お
練習がてらね。
(彼女:「練習するんだ…」)
当たり前よ。
アタシだって最初から何でも上手くできるような器用な人間じゃないわ。
何度も練習しては失敗の繰り返し。
お
(彼女:「私には無理だ…」)
あら?
なんで無理なの?
(彼女:「こういうの下手だから…」)
下手なのは慣れてないからよ。
練習すれば
(彼女:「……そうかな?」)
そうよ。
アタシが言うんだから、間違いないわ。
…ねぇ。
今から、時間あるかしら?
(彼女:「あるよ?」)
なら、アタシで試してみない?
(彼女:「いいよ。そんな…」)
遠慮しないの。
言ったでしょ?
練習すれば
これ、使っていいから。
(彼女:「えっ…でも…」)
なぁーに?
塗ってくれないの?
(彼女:「ハイブランドじゃ…?」)
ハイブランドかどうかを心配してたの?
大丈夫よ。
これはプチプラだから。
(彼女:「プチプラとか買うんだ…」)
お
自分が気に入ったものを買ってるんだもの。
ちなみに、これは色が素敵で一目惚れして買ったの。
(彼女:「ほんと…綺麗…」)
ね?
綺麗でしょ?
あとで
(彼女:「私は別に…」)
いいじゃない。
塗り合いっこしましょ。
じゃぁ、早速…はい。
下準備はしてあるから、塗ってくれる?
(彼女が塗り始める)
(彼女:「塗り方とかある?」)
塗り方?
そんなの適当でいいのよ。
本職のネイリストじゃないんだし、自分が塗りやすいように塗ればいいの。
(彼女:「君の塗り方が知りたい。綺麗に塗ってるから」)
アタシの塗り方が知りたいの?
(満更でもない感じで)仕方ないわねぇ。
手取り足取り教えてあげる。
まずは爪先の側面を塗るの。
そう。
そこのところ。
1番当たるところだから、ここのところを塗らないとモチが悪くなっちゃうのよ。
薄くで大丈夫。
そう。
上手。
次は爪の方ね。
真ん中、右、左の順で塗ってみて。
そうそう。
……
すごくセンスあると思うわ…。
(彼女:「嘘だ…。こんなに下手くそなのに…」)
嘘じゃないわよ。
アタシが塗り始めた頃よりずっと上手よ。
(彼女:「そうなの?」)
はみ出すのなんて、当たり前。
色ムラもすごかったし、変に重ね塗りなんかしたもんだから、ガッタガタで
あれはある意味黒歴史と言ってもいいレベルに
それに比べたら、
だから、これはこのままにするわ。
(彼女:「塗り直した方がいいよ」)
バカ言わないでちょうだい。
塗り直しなんて絶対にしない。
だって、
(彼女:「ほんとにいいの?」)
いいの!
アタシがコレがいいって言ったら、コレがいいの!
ありがとね。
一生懸命に塗ってくれて。
超真剣な顔、すっごくかわいかったわ。
こーんな難しそうな顔して塗ってて…。
(彼女:「ヤダ…恥ずかしい…」)
普段見れない顔だから、余計にレアな感じでずっと見ていたくなっちゃった。
ねぇ。
気が向いたら、また塗ってくれないかしら?
強制とかじゃなくて、ほんとに気が向いた時だけでいいんだけど…。
(彼女:「それはいいけど…ちょっとテンション上がってる?」)
そうね。
いつもと立場が逆だからテンション上がってるのかも…。
『アタシは
(触れるだけのキス)※ 省略可