ん?
何?
今?
暇だけど、暇じゃない。
いやいや、意味分かんなくないっしょ。
暇だから動画見てるの。
十分暇じゃない理由じゃん?
今見てるのはね、おすすめに出てきた動画。
ちょっと気になったから見てるだけ。
で、何の用事?
何もないのに、俺のこと呼んだりしないでしょ?
『一緒にゲームがしたい』?
ふぅーん。
珍しいじゃん。
普段全然ゲームなんかしないのに…。
どんなジャンルのゲームがしたいの?
俺が持ってるのなら、すぐできるよ。
2人プレイなら、アクション系かな…?
…『愛してるゲーム』?
……パス。
そんなつまんないゲーム、やりたくない。
動画の続き見るから、邪魔しないでね。
(彼女が邪魔をしてくる)
…邪魔しないでってば!
「やりたくない」って言ったじゃん。
だって、愛してるゲームなんて、合コンとか陽キャが集まった時にやるようなゲームだよ?
そういうの、俺が嫌いって知ってるのに、なんで『やりたい』なんて言ったの?
俺に対する嫌がらせ?
別に、負けるのがイヤってわけじゃないし。
そのゲーム自体が嫌いってだけだし。
(ちょい怒り気味に)…へぇ。
…分かった。
そこまで言われたら、ゲームに付き合ってあげる。
せっかくだから、負けたら罰ゲームってルールでやろうよ。
どんな罰ゲームにするかは今は内緒にして。
その方がスリルあって、楽しいじゃん?
先攻・後攻はどうする?
普通にじゃんけん?
OK。
じゃぁ……じゃんけんぽん。
俺の勝ち。
先手必勝の先攻!
当たり前じゃん。
くだらないことはサッサと終わらせるに限るの。
ほら。
隣じゃなくて、俺の足の間に座って。
向かい合うように。
…俺の目、ちゃんと見てて?
いくよ?
(愛してるゲーム、スタート)
愛してるよ。
愛してなきゃ、一緒にいるわけないじゃん。
『どれくらい』って言われても、そんなの分かんない。
考えたことなかったし…。
ん゛ー、そうだなぁ…。
もし、君の命に危険が迫ってたら、俺の命なんかいくらでも差し出しちゃうくらいには愛してる…かな?
それだけ君のことが大事で、愛してるってこと。
うん。
ほんとに。
俺の人生で最後に愛するのが君でよかった。
(愛してるゲーム、終わり)
はい。
俺の勝ち。
だって、今めっちゃ照れたじゃん。
顔真っ赤なままだし。
ゲームは、これでおしまい。
満足したでしょ?
罰ゲームは夜に発表するから。
それまでソワソワして待ってて。
はぁ!?
今更もう1回「愛してる」とか、無理。
さっきはゲーム中だったから言えただけ。
何もない状態で「愛してるよ」なんて、恥ずかしくて言えるわけないよ。
無理ったら、無理!
ってか、こんなの俺が罰ゲーム受けてるみたいじゃん。
ゲームには勝ったのに…。
…もう、うるさい。
(触れるだけのキス)
俺がこういうことするのも、したいと思うのも、君だけだから。
不安に思わなくても大丈夫。
(耳元で)…愛してるよ。
俺の未来のお嫁さん。