へーげる
voice:へーげる

低身長後輩が高身長先輩に強気に攻める

図書委員の委員活動をしている先輩・後輩。
後輩は委員活動が始まってすぐから先輩のことが気になっていて、いつしかそれは恋へと進化していた。
その思いを抱えていたのは後輩だけではなくて――。

—————-
【扉を開ける音】

先輩、お疲れ様です。
今日はすごいですね、返却本。
俺も仕分け手伝いますね。

よいしょ、っと…。
じゃぁ、俺、こっちの山の本を片付けてきますね。

(少し間を開ける)

(先輩の方へ近づく)
先輩、俺の担当分、終わりました。
先輩、まだ残ってますね。
って、あれ?
さっき言ってた先輩の担当分と違うような…。

これ、かなり重い本ばかりじゃないですか…。
先輩、こっそり替えましたね?

(少し拗ねて)
俺だって男です。
小さくたって、これくらいの重さ、ちゃんと持てるんですから。
女の子の先輩よりは力あります。
先輩はカウンターに残ってる本を片付けてください。
俺がこれ全部やりますから。

『えぇ~』じゃないです。
先輩は女の子なんだから、こんな重い物持たなくていいんです。
こういう時くらい男の俺を頼ってください。

(先輩の背を押している感じで、背後から)
先輩はあっち。
ここは俺がやりますから。
はい、はい。生意気でいいですよ~。

(脚立に乗って一人で片付け始めてすぐ/小声で)
ふぅ…。
先輩、よくこんな重いの一人でやってたな…。
俺一人ですらこんなに疲れる程の重労働なのに…。
もっと早く気付いてあげたらよかったな。
ごめんなさい、先輩。

(少し間を開ける)

(先輩が後ろにいることに気付かない)
うわぁ!
先輩?
いつからそこにいたんですか?
今の聞いて……いや、何でもないです。

どうしたんですか?
ぁっ、飲み物…。
買ってきてくれたんですか!?
ありがとうございます。
もう少しで終わるので、ちょっと待っててください。

…ねぇ、先輩。
俺から離れてください。
今汗かいてて汗臭いですから。
それに、今脚立乗ってて危ないから。
だから、お願い。
離れてください。

(少し不貞腐れた感じで)
もぅ…。
離れてくれなきゃ、残りの片付けできないです。
これ終わらないと帰れないですよ?
分かってるでしょ?

やらなくていいって…。
仕事をきちんとする先輩にしては珍しい発言ですね。
もう少しで終わるから、ね?先輩。

ん~、じゃぁ、こうしましょう。
先輩も手伝ってください。
それなら早く終わることができるでしょ?

ふぅ…お疲れ様でした。
結構な量も、重さもあって、疲れましたね。

そうだ!先輩。
このまま休憩にしましょう。
先輩が買ってきてくれた飲み物一緒に飲みませんか?

ありがとうございます。
ぁ…、俺が好きなイチゴオレだ。
先輩、俺の好きな物知ってたんですね。
俺、教えたっけ?
まぁ、いっか。
ありがとうございます。
お金…お金…。
えっ、先輩のおごり?
じゃぁ、今度ジュース奢りますね。

あぁ、美味しい。
仕事した後のジュースは格別ですね。

ねぇ、先輩。
俺、今すごい嬉しいんです。
俺って先輩より背低いじゃないですか。
どんなに背伸びしても先輩を超えることはできない。
でも今は脚立の上に乗っているから先輩より目線が上。
しかも、先輩を見下ろしてる。
それがすごい新鮮で嬉しいんです。

こんなくだらないことで喜んでて、すごい子供みたいですね。
冷静になると、恥ずかしくなってきちゃいました。

どうしました?先輩。
顔、真っ赤ですよ。
体調悪いんですか?
本当に大丈夫なんですか?
それならいいんですけど…。

質問?俺に?
何ですか?
付き合ってる人ですか?
いませんよ。
周りでは結構付き合ってる奴ら多いですけど、俺は独りです。

今好きな人ですか?
…好きな人はいますよ。
この一年くらいずっと好きなんです。
気持ちは伝えてないです。
伝えたら今まで築き上げた関係が崩れちゃいそうで怖いんです。

いきなり、どうしたんですか?
真面目な話ですか?
……えっ!?
先輩が俺を好き?
先輩、冗談はやめてください。
いつも俺でからかって楽しんでるの知ってますから。

本気で言ってるんですか?
本当に本気なんですね。

俺、さっき好きな人がいるって言ったじゃないですか。
人一倍責任感強くて、自分にも他人にも厳しくて、完璧主義者で。
そのくせ、うまく人に頼れなくて自分で自分の首絞めてて。
雁字搦めになって、身動き取れなくなって初めて人を頼るような、ちゃんと見ててあげないと危なっかしい人なんです。

ある日、その人とたまたま一緒に仕事をすることがあって、俺、ずっと緊張してたんです。
ガチガチに緊張してたら、『これ、あげる』ってお菓子くれたんです。
学校にお菓子を持ってくるのは校則違反なのに。
普段のその人を知ってるから絶対校則違反しないと思ってたのに。
意外な一面を知ってるのが俺だけだって思ってすごい嬉しくて。
その日からずっとその人を目で追ってしまって、気付いたら恋に落ちてました。

先輩…、俺、先輩が好きです。
女の子は先輩しか見てなかったくらいには好きです。
俺が背が小さいのを気にしてるの知ってるからか、先輩は絶対に俺を背で揶揄ってこなかった。
それも俺にとってはますます恋に落ちる要素でもありました。
こんな小さい俺だけど、先輩の彼氏になってもいいですか?

告白返しみたいになっちゃってごめんなさい。
女の子に告白させちゃダメな気がして…。
小さい男のプライドだと思って許してください。

告白の返事、聞かせてもらってもいいですか?
……ありがとうございます。
先輩、大好きです。

あっ、先輩少し脚立の方に近づいてもらっていいですか?
ギリギリまで近づいて。
そう、そこで止まって、目を瞑ってください。
いいから。は・や・く!

見えてないですか?
見えてないですね?

(リップ音)チュ

ごめんなさい。
先輩がかわいくって、どうしても今したくなっちゃいました。

普段は俺の方が先輩を見上げる方になっちゃうから。
今みたいな状況でいつかキスしたかったんです。

(申し訳なさそうに)
…突然キスしちゃってごめんなさい。

えっ、もう一回ですか?
いいですよ。

(リップ音)チュ

また同じ日に仕事することがあったら、またこっそりキスしましょうね。
これは先輩と俺の二人だけの内緒です。
誰も知らない、俺達だけの秘密だから誰にも話しちゃダメですからね。
指切りの代わりに、キスしましょ…。
先輩とのキス、気持ちよくて癖になりそう。
二人だけの約束です。

(リップ音)チュ