お
初めて作ったんだけど、なかなか
いっぱい食べてくれて、ありがとね。
あら、ヤダ。
口元が汚れてるわよ。
はい、取れた。
けど、リップも一緒に取れちゃったから、直してらっしゃい。
鏡が置いてある場所、分かる?
はぁ!?
リップ持ってないですって!?
あなたねぇ…。
「女の子なんだから、身だしなみくらいちゃんと整えなさい」って、アタシが口を
『めんどくさい』じゃないのよ。
ったく、もう…。
あっ!そうだわ!
いいモノがあるの。
ちょっと待ってて。
(少し間を開ける)
お待たせ。
これ、あなたにあげるわ。
そ。
リップの試供品。
この間、仕事の関係でもらったんだけど、
でも、だからって捨てるのはもったいないでしょ?
その時ふと、あなたの顔が思い浮かんだのよ。
こういう色、あなたも付けたことないけど、似合いそうだなって。
今から付けてみてもいいかしら?
いつも同じっていうのは安心感はあるけど、刺激がないじゃない?
たまには冒険しないと、新しい発見は見つからないものよ?
ね?
付けるだけ。
気に入らなければ、すぐ落とせばいいんだし。
…どうかしら?
そうこなくっちゃ!
じゃぁ、ちょっと目
…はい、できた。
…んー……なんか思ったのと違うわね…。
なんというか……はっきり言うと、イマイチだわ…。
もっとかわいくなると思ったのに…。
これだったら、アタシが使った方がいいかも…。
…返してちょうだい。
(濃厚なキス)
…なーんて、嘘よ。
うん。
やっぱりアタシの思った通りね。
すっごくかわいい。
あまりのかわいさに褒めるより先にキスしちゃったけど。
今までの色もかわいかったけど、この色は系統が違うかわいさがあるわ。
えっ……『どっちの色が好き?』か…。
ん゛ー、究極の選択ね…。
だって、どっちも選べないくらいかわいいんだもの…。
どちらか1つを選ぶなんて、アタシには無理よ。
…ねぇ。
このあと、特に予定も決めてなかったじゃない?
だったら、お買い物しに行かない?
このリップを買いに。
いいのよ。
ちょうどあなたの誕生日も近かったことだし、プレゼントさせてちょうだい。
こらっ!
こういうのは安いとか、高いとかって問題じゃないの。
好きな人にかわいく見られたいって思うでしょ?
だったら、好きな人がかわいいって言ったものが正解なのよ。
お金の問題じゃないわ。
だから、素直にプレゼントされなさい?
いいわね?
ん。
いい子ね。
どうしてもお返しがしたいって言うなら、アタシからのたくさんのキスを受け止めてちょうだい。
なんだか、さっきからたまらなくキスがしたいのよ…。
このリップのせいかしら?
冗談でこんなこと言うわけないじゃない?
アタシはいつでも本気よ?
…確かめてみる?
ふふ。
ごめんなさい。
だって、あなたの反応がいちいちかわいいんだもの。
つい、いじめたくなっちゃった。
さっ!
お話はこれくらいにして、片付けが終わったらお買い物に行きましょ。
片付けはアタシがやるから、先に出かける準備をしてて。
アタシもこれが終わったら、すぐ準備済ませるから。
(耳元で)お買い物から帰ってきたら、もっとキスしましょうね?
アタシが満足するまで、たくさん…。