おかえり。
今日遅かったじゃん。
どうしたの?足。
『何が?』って、とぼける
見れば分かるんだけど。
足、引きずってるの。
それで隠し通せるとでも思ったわけ?
…俺を
で、足、どうしたの?
引きずってるってことは痛いってことなんだろうけど…。
階段
バカなの!?
君、のほほんとしてて危なっかしいとは思ってたけど、まさか階段を
いつ
午前中!?
…ということは、
『バカだ、バカだ』とは思ってたけど、ここまでバカだとは思わなかった。
こっち来て。
(命令っぽく)ソファーに座れって言ってんの。
さっさと俺の言うこと聞いて。
ちょっと足首動かすよ。
これ、痛い?
…大丈夫?
じゃぁ、こうすると痛い?
こらっ!足を引っ込めるな。
少し
【冷蔵庫の開閉音】
保冷剤、当てるよ。
タオルに
どう?
このまま少し
あのさ、『この感じだと
思ったなら、なんで処置しなかったの?
処置の
君、学生時代、運動部だったって言ってたよね?
運動部員だったら常識のはずだけど。
まぁ、運動部員じゃなくても、一般常識だとは思うけどね…。
『ごめん』って謝るくらいなら、次からは自分で処置できるように、今、覚えて。
俺、ちゃんと教えるから。いい?
『安静、冷却、圧迫、
ほんとはこれを
まぁ、それは今言っても
で、とりあえず熱持ってるから今は
あんまり長時間
…そろそろいいかな?
ある程度
どう?きつさ、大丈夫?
で、最後に安静と
『自分で動ける』じゃないって。
俺、今言ったよね?『安静』って。
いいから、ジッとしてて。
落としたりしないから。
(ベッドルームに運ぶ)
よいしょ……っと。
クッションを足の下に入れて……これで完成!
帰ってきた時と比べて、痛みはどう?
少し良くなった感じ?
…よかった。
『よく知ってたね』じゃないし!
バカにしてるの?
俺も、学生時代、運動部だったって知ってるよね?
こういう
ってか、知らずによく運動部でやってこれたね。
逆にすごいよ…。
『えへへ』じゃない。
俺、
(溜息)はぁ…。
でも、ほんとに
しばらくしても痛かったらちゃんと病院行って
『ヤダ』じゃないよ。
病院行かなくて歩けなくなってもいいの?
歩けなくなる方がイヤでしょ?
1人で行くのがイヤなら俺もついて行ってあげるから。ね?
うん。約束ね。
今日は君はベッドの上で横になったまま動いちゃダメだからね。
トイレは仕方ないとしても、お風呂も今日は入らなくていいよ。
『ヤダ』じゃないって言ってるよね?
俺、さっきも同じこと言ったよね?『安静』って。
ったく…。
君の世話は俺がちゃんと見るから。
ご飯だって作るし、着替えだって手伝ってあげる。
だから、ちゃんと安静にして?
お願い。
…何、もぞもぞしてるの?
『どうしてもお風呂に入りたい』?
1日お風呂に入らなくても死なないから、今日はお風呂ダメ。
絶対ダメ。許さないよ。
(彼女の匂いを嗅ぐ)
大丈夫。
むしろ、いい匂い。
俺の好きな匂い。
ずっと
いつまでもスーツでいるわけにはいかないし…。
えっと、着替え…着替え…。
……あっ!こらっ!
どこ行こうとしたの?
『トイレ』?
(溜息)はぁ…。
嘘
着替え
お風呂行こうとしたでしょ。
ちょっと目を
どうしてもお風呂に入りたいの?
…じゃぁ、お風呂入ってもいいよ。
ただし、俺と一緒にお風呂に入るならね。
俺が君の全身、
足
なるべく負担かけないようにするには俺が君を洗ってあげるのが1番だと思うんだよね。
どうする?
今日お風呂入らずにいるか、俺に全身洗われるか。
君の好きな方を選んでいいよ。
ん?『今日はお風呂入らない』?
ほんとに?
別に入ってもいいんだよ?
俺と一緒だけど。
…イヤなの?
そんなにイヤなの?
本人を目の前にして、はっきり言う?
最近ずっと
いいもん…。俺、
やめて…。ギューしないで…。
ヤダ…。
ヤダって言ってるじゃん…。
………なんてね。
(彼女を抱きしめる)ギュー
もう離さない。
明日、仕事休みでしょ?
なら、明日もずっと俺の腕の中にいて。
最近全然
俺、ほんとに
ん?着替えたいの?
あぁ…まだスーツのままだったね。
着替えさせてあげるけど、もう少しこのままでいさせて。
俺が満足するまで、もう少しだけ…ね?