小鳥遊きの
voice:小鳥遊きの

彼女の後輩を牽制するためにわざと見えるところにキスマを付けるワニ系彼氏

(彼女を店まで送っている)

今日の飲み会って、あの店?

ん。
分かった。
じゃぁ、終わるまで近くの店で待ってる。

『ヤダ』じゃねーよ。
危ねーから言ってんの。
このあたり飲み屋ばっかだし、酔っ払いに絡まれたらどうすんだよ。
お前1人でなんとかできるわけ?

へぇー。
じゃぁ、今から俺を酔っ払いだと思って、なんとかしてみろよ。

(軽く咳払い)ん゛ん゛っ…。

(酔っ払いっぽく)なぁ。
姉ちゃん、1人?

俺と飲みに行こうや。
まだ飲み足りねーんだよ。

遠慮すんなって。
(おご)ってやるから。

ほら。
こっち、こっち。(酔っ払いっぽい感じ終わり)

はい。
全然ダメ。
酔っ払い相手にクソ(真面目まじめ)に対応してどうすんだよ。

簡単に逃がしてもらえると思ってるあたり、頭ん中お花畑すぎ。
男ってものを全然分かってねー。

いいか?
酔っ払いでも男は男。
力で(かな)うはずねーんだから。
捕まったら最後なんだよ。

ってかさ、さっきスルーしたけど、なんで俺が迎えに来たらダメなの?
ちゃんと理由説明して。
納得したら、待つのやめてやるよ。

(相槌数回打つ)

『恥ずかしい』…?

それって、彼氏が迎えに来ることが?
それとも、彼氏持ちって周りにバレることが?

両方、か…。
……却下だな。

当たり前だろ。
んなくだらねー理由で納得してもらえると思った方がびっくりだわ。

(彼女の後輩がやってくる)

(後輩に対して)ん?
あぁ……どうも…。
コイツがいつもお世話になってます。

(去っていく後輩)

アイツ、何?
すっげーヤな感じだったんだけど。

なんでお前が謝るんだよ。
謝る必要なくね?

はぁ!?
お前がアイツの教育係!?

…マジか…。
気をつけろよ。

(溜息)はぁ…。
鈍感すぎ…。

アイツ、お前のこと好きだぞ。

嘘じゃねーって。
俺のこと(牽制けんせい)してきやがったし…。

ふぅーん。
『彼女がいる』ねぇ…。

たぶん嘘だな、それ。
お前のこと油断させるための(口実こうじつ)

じゃねーと、店の前で待つ意味なくね?
あっち行ってから、ずーっとお前から目離さねーでやんの。
俺がいるってのに…。

バカっ!
あっち見んな。
お前があっち見たら、アイツの思う(つぼ)だろ。

お前は俺だけ見てればいいんだよ。
前に言ったよな?

なのに、なんでほかの男の方を見ようとした?
怒られたくてやってるんだったら、話は別だけど…。

まぁ、どうでもいいや。
ちょっと目(つむ)って黙ってろ。
いいから。

(彼女が目を瞑る)

(彼女の首筋にキスマークを付けるリップ音)

何したかなんて、聞かなくても分かってるくせに…。

首にキスマーク付けた。
ただそれだけ。

見えるとこに付けねーと意味ねーじゃん。
首輪なんだから。
お前は俺のだって、周りに見せつけとかねーと…。
特に、アイツには。
だから、今ここで付けた。

あー……はいはい。
文句は帰って聞いてやるよ。

もう時間?
じゃぁ最後に、もう1個約束。

今日酒飲むの、禁止。
一滴も飲んだらダメ。
どうしても飲みたいなら、家に帰ってからにしろ。
俺も付き合うから。

もし、酒の匂いがしたら、どうなるか……分かるよな…?

ん。
終わったら連絡すること。
酒は一滴も飲まねーこと。
約束はちゃんと守れよ?
いいな?

…行ってらっしゃい。