【玄関扉の開閉音】
ただいまぁ~
(急いで玄関からリビングに向かう)
【リビングのドアを開ける音】
久しぶり。
元気してた?
あれ?
兄貴は?
…仕事なんだ。
母さんもいないの…?
父さんと二人で買い物…。
ったく…。
(義姉に聞こえないような小声で)
やった!
今なら二人きり。
ん?
何も言ってないよ。
(義姉に近づく)
(シリアスな雰囲気で)
ねぇ…。
なんで泣いてたの?
バレないと思った?
目、
真っ赤になってるよ。
ほっぺに涙の
あっ!
(真剣な感じで)
あのさ、俺でよかったら聞くよ。
泣いてた理由。
無理矢理聞こうとか、思ってないから。
ただ、
(相槌を数回打つ)
それは兄貴が悪いだろっ!
だって、そうじゃん。
浮気なんて最低な奴がすることじゃん!
『全部私が悪いの』って……
全然悪くない。
悪いのは全部兄貴なんだ。
あんなワガママな兄貴のお
『いい人がお
俺だって、『こんなにかわいくて綺麗な人が俺の
それなのに、兄貴は
本当にあり
兄貴に代わって謝罪します。
本当にごめんなさい。
ねぇ。
こんなこと俺が言う資格ないの分かってるんだけど、あえて言うね?
…兄貴と別れた方が幸せになるんじゃない?
兄貴と一緒にいたら、この先もずっと泣き続ける毎日だよ?
それってすごく
『それはできない』か…。
そうだよね。
そう簡単にできるわけないよね。
……俺、
大好き。
兄貴の奥さんだから、どうやっても俺に勝ち目がないのは分かってる。
今も兄貴と別れることはできないって言ったから、俺のものになってくれることもないって分かってる。
それでも気持ちは
初めて会った日から今も
この気持ちに
ただ、俺の気持ちを知っててもらいたかっただけ。
……ただ、それだけ。
ねぇ、最初で最後のお願い、聞いてくれない?
少しの時間でいいんだ。
3分……いや、1分でいいから。
…お願い。
ありがと。
(義姉を抱きしめる)ギュー
(耳元でゆっくりと)
俺は絶対に
悲しませたりしない。
もし、いつか兄貴と別れることになったら、その時は俺を思い出して。
絶対に
そして、誰よりも幸せにするから。
…愛してる。
(義姉を解放する)
ん、ありがと。
ごめんね。
変なこと言って…。
じゃぁ、俺、自分の部屋に戻るね。
これ以上
自分を
…ごめんね。
ゆっくりしていって。
【自分の部屋のドアの開閉音】
あ~ぁ…フラれたか…。
(自嘲した感じで)
困らせたいわけじゃなかったんだけどなぁ…。
(嗚咽を漏らす感じで泣きながら)
どうしてうまくいかないんだろう…。
…