【玄関扉の開閉音】
たっだいまー!
そりゃ、
いい部屋見つかったし、君が今日も泊まってってくれるんだもん。
でも、ちょっと予算オーバーだったね…。
いやいや。
気にしなくていいって言われても、普通に気にするから。
んー……どうしよ…。
今のままだと、ちょっと足りないんだよな…。
バイト、もう1つ増やそっかな…。
なんでバイト増やさなくていいの?
2人で住む家なんだから、どっちかが多く負担するのはおかしいでしょ。
こういうのは、きっちり半分こにすべきだと思いますっ!
(駄々こねる感じで)ん゛ん゛…。
バイト増やしたっていいじゃん…。
自由に使える時間、まだいっぱいあるんだし、1つくらい大丈夫だよ。
『学生だから』?
それが理由なの?
…だったら、大学やめる。
今すぐ社会人になる。
それなら、文句ないよね?
そういうことじゃん。
さっき言ったことって…。
何が違うっていうの?
こういう時ばっか、年下だからって子供扱いしてきて…。
(溜息)はぁ…。
…こんなことで喧嘩するなら、一緒に住もうなんて言わなきゃよかった…。
……あっ!
今のは違くて…。
…ごめんなさい。
イラついて、イヤな言い方した…。
(深呼吸 1回)
ん。
ちょっと冷静になれたと思う。
えっと……今問題になってるのは、お金のこと。
そこは間違ってないよね?
まず、俺から言わせて。
お金に関しては、全部半分こにしたい。
家賃、光熱費、その
毎月2人で同じ額出し合って、その中から使っていくのがいいと思う。
君はどう考えてるの?
(相槌数回打つ)
そっか…。
君の言いたいことも分かるけど、それだと君ばっか負担にならない?
いくら社会人だからって言ってもさ…。
なんか違う気がする…。
納得できない…。
わっ!
(彼女が抱きしめてくる)
ちょっ…離して!
ギューは後にして。
別にギューされるのは嫌いじゃない。
むしろ、好きだもん。
だけど、それとこれとは話が別でしょ。
今は大事な話の途中だから、1回離れて。
ね?お願い。
で、さっき言いかけたこと、何?
…今できることをやるの?
バイトじゃなくて?
(相槌数回打つ)
…分かった。
今回だけは折れてあげる。
でも、俺が社会人になったら、もう1回この話はちゃんと話し合お?
それでいい?
ん。
じゃぁ、ギューしよ?
(彼女を抱きしめる) ※ 以下、抱きしめたままで。
いっぱいお仕事がんばって、疲れちゃった君を癒してあげる。
好きな人とのギューには、ストレス解消の効果があるんだって。
今の俺にはこれくらいしかできないから…。
ごめんね。
年下で、ワガママで、子供っぽくて、頼りない俺だけど、これからもよろしく…ね?