パンダ系彼氏からのお礼は愛”彼”弁当

(手を合わせて)ごちそうさまでした。

お腹いっぱいになった?
…よかったぁ。

それでなんだけど……ぶっちゃけ、どうだった?

食べてみて、思ったこと言って。
はっきり言っちゃっていいよ。

(相槌数回打つ)

……なるほど…。

やっぱり、そうだよね。
そこんとこ、俺も気になってたんだよ…。

(大きめの溜息)はぁ…。

なんで君が謝るの?
はっきり言ってってお願いしたのは俺なんだから、君が謝ることないんだよ。

今の溜息は、自分のダメさに落ち込んでただけ。
もっと上を目指せると思ってるのに、それができない…。
自分の中から、うまく答えを見つけられない、みたいな…。

「こうしたい」って思いはあるんだけど、ね…。
まだまだだなぁ…。

うぅん。
いいの。
(なぐさ)めは、いらない。

ここからもっとがんばって、なんとか答えを見つけてみる。
俺なりに。

また、試作品ができたら、試食お願いしてもいい?
今みたいにはっきり言っちゃっていいから。

いいの、いいの。
そうじゃなきゃ、意味がないんだもん。

絶対に(妥協だきょう)したくない。
今回は特に…。

初めてのジャンルに挑戦したから、楽しいのかもしれない。
こんな気持ち、初めて…。

君にはいっぱい迷惑かけるかもしれないけど、よろしくね。

あっ。
そろそろ準備始めないと、時間ギリギリになっちゃうよ。

ごめんね。
朝は忙しいってのに、こんな面倒なことお願いしちゃって…。

時間なら俺が見とくから、きちんと準備しておいで。
危なくなったら、呼びに行くね。

(少し間を開ける)

準備できた?

じゃぁ、これ。
朝から付き合ってくれたお礼。

俺の愛情こもったお弁当。

中身は君が好きな物がいっぱい入ってるよ。
ちなみにカロリーは控えめにしてあるから。

ふふ。
こんなことで、お仕事がんばれちゃうの?
単純だなぁ。

君に喜んでもらえて、俺も嬉しい。
俺が君にできることと言ったら、これくらいしかないから…。

うん。
お昼休みを楽しみにして、お仕事がんばって。

忘れ物は大丈夫?

財布持った?
スマホは?
今日のお仕事で使う資料とか…。

もう…。
大事なもの、忘れちゃダメじゃん。
早く取っておいで。

(彼女が自室に取りに行く)

ったく…。
しっかりしてるんだか、どこか抜けてるんだか…。
そんなとこがかわいいんだけど…。

(彼女が戻ってくる)

それが大事な資料?
ほら、ちゃんとバッグに仕舞って。

ほかは?
もう忘れ物ない?
大丈夫?
お弁当も忘れずに持ってってね。

ん。
慌てなくても時間は大丈夫。
まだ余裕あるから。
気を付けていってらっしゃい。