よし。
準備できた。
時間は……まだ余裕あるし、どうしよっかな…?
家出るには早すぎるし…。
ん?
今日の予定?
えっと…昼前くらいに家を出て、夕方までは大学。
その後はバイト。
君は?
(相槌数回打つ)
ん。
分かった。
今日のバイト、ラストまでだから、家に着くのは日付変わる頃だと思う。
なるべく早く帰ってくるつもりだけど、状況次第かな…。
俺のことは待たずに、先に寝てて。
お仕事で疲れてると思うし。
んー……なんかよく分かんないんだけど、最近、ずっとバイト忙しいんだよね。
女の子のお客さんがすっごく増えたから。
期間限定メニューがあるわけでもないのにさ…。
お店が忙しいのは嬉しいんだよ。
だけど、やたら絡んでくる人が多くて…。
仕事の邪魔なんだよね…。
『彼女いるんですか?』とか『連絡先交換しませんか?』とか…。
挙句の果てには、自分の連絡先を押し付けてくる人もいて…。
ちょっとうんざりしてるんだよね…。
言っとくけど、言い寄ってくる女の子を
あくまでお客さんだよ?
仕事中に
思わせぶりなこと?
してない!してないよ!
普通に商品渡してるだけ。
えっ!?
今ここでやるの!?
いつものバイトの感じを?
まぁ…いいけど…。
それで、君の気が
(接客してる感じで)お待たせいたしました。
熱いので、気をつけてくださいね。
って感じ。
普通でしょ?
いやいや。
全然
一応接客業だから、多少
女の子にキャーキャー言われても何とも思わないよ。
だって、俺の中の1番は君だから。
君以外は興味ないの。
どんなに言い寄ってこられても、全部断ってるもん。
押し付けられた連絡先?
その日のうちに、全部捨ててるよ。
一応個人情報だし、ハサミで細かく
ほんとに誰にも連絡したりしてないって。
なんなら、スマホ見てみる?
はい。
どうぞ。
見られて困るものなんて何もないから。
どう?
浮気してそうな証拠あった?
ね?
ないでしょ?
俺は君しか見てないの。
不安に思わなくても大丈夫だよ。
絶対に浮気なんてしないから。
分かってくれた?
…よかったぁ…。
(彼女を抱きしめる)
ん。
俺も大好きだよ。
……ねぇ、話に夢中になってて忘れてたけど、時間大丈夫?
ほら、急いで!
遅刻しちゃうよ!
あっ!
待って。
大切な忘れ物してるよ。
(触れるだけのリップ音)
…いってらっしゃい。
気を付けてね。