山下さんから着信です
voice:山下さんから着信です
えあー
voice:えあー
小鳥遊きの
voice:小鳥遊きの

彼女に自信を持たせるのがうまい猫系彼氏

(手を合わせて)…ごちそうさまでした。

片付けはいいよ。
やっとくから。

会社に行く準備しておいで。
時間かかるでしょ。

俺は君ほど時間はかからないの。
だから、片付けした後でも、時間に余裕あるから大丈夫。

ほら。
さっさと行って。

(少し間を開ける) ※ 食器洗い中

さてと、片付け終わったし……俺も準備するか…。

あれ?
準備終わっ…てないじゃん。
着替えだけして、メイクしないの?

ってか、デカい箱?バック?なんか持ってきて…。
中身、何?

メイク道具…。
見てもいい?

へぇー。
こんなにたくさん…。

女の人って、毎日大変だね…。
……俺、男でよかった…。

で、なんでここにメイク道具持ってきたの?
ここでメイクすんの?

ふぅーん。
いいんじゃない?
好きにすれば?

俺も準備しよっと。

(着替え始める)

……ん?
ごめん。
ガン見しすぎた。

メイクしてるの、初めて見たからさ…。
いつもそうやってメイクするの?

…すごいね。

スッピンでも綺麗だけど、メイクしたらもっと綺麗になってく…。

…っ!
今のなしっ!
忘れてっ!

ヤダじゃないっての!
…もう…恥ずかしいじゃん…。

(彼氏を放置してメイクを続ける彼女)

……どうしたの?
難しい顔して。

リップ?
あっ、口紅のこと?

今日はどの色塗るか悩んでるの?

ねぇ。
俺が決めてもいい?

んーとね……この色。

今日は、大事な会議があるじゃん。
そういう日には赤がいいんだって。
勝負する時とかチャンスを掴む時に効果的らしいよ。

大丈夫。
全然キツく見えないって。
絶対似合ってるから。

…俺を信じて塗ってみて。

ほらね?
すっごくデキる女になった。

(笑いながら)君がびっくりしてどうするの。

メイクのことは何も知らない。
でも、自分の彼女を綺麗にするアドバイスくらいならできるから。

……たまになら、アドバイスしてもいいよ。

”たまに”だからね!
た・ま・に!

いつもは、してやんない。
してほしいなら、それなりの対価が必要じゃない?

そ。
対価。
何事もギブ・アンド・テイクだってこと。

そうだなぁ……1日5分だけ俺の好きにさせてくれるとか?
ハグでも、キスでも、好きなことするの。

どう?

…あっそ。
じゃぁ、自分でがんばりなよ。

さーてと、準備できた。
そろそろ時間だし、先に行くね。

えぇー!?
なんで待たなきゃいけないわけ?
自分が遅いだけじゃん。

一緒に行くなら、さっさとしてよ。

忘れ物は?
スマホ。
財布。
今日必要な書類。
全部持った?

じゃぁ……ん。

…ボケーッとしないでよ。
会社行く前の大事なやつ。
忘れないで。

行ってきますのキス、でしょ。

(触れるだけのリップ音)

ふふ。
今日も1日がんばろうね。