やっと起きてきましたか。
おはようございます。
何度私が起こしたと思っているんですか?
『さぁ?』じゃ、ありませんよ。
5回ですよ?
5回!
謝らなくていいですから、温かいうちに朝ご飯、食べてください。
冷めちゃいます。
『いらない』…ですか…。
そうですか…。
せっかくお
『なんで?』って、自分の体のことなのに気づいてないんですか?
熱、あるんですよ?
嘘じゃないですって。
測ってみますか?
はい、体温計。
(彼氏、体温を測り始める)
測らなくても分かりますよ。
熱があることくらい。
それほどまでに、あなたの体が熱いんです。
(体温を測り終えた音が鳴る)
あっ、測れましたね?
どれどれ…。
…うわっ…高…。
自分の目で確かめてください。
『ほんとだ』って、他人事みたいに…。
(溜息)はぁ…。
もう少し自分の体、大切にしてあげてください。
ここのところ仕事が忙しくて、毎日遅く帰ってきてたでしょ?
睡眠時間も食欲も、どんどん減って…。
遅かれ早かれ、こうなると思っていました。
今日はお休みです。
1日寝ててください。
とりあえず、お
じゃないと、お薬飲めませんから。
『ヤダ』って、ワガママ言って仕事行けるような状況じゃないんですよ。
あなたも自分の目で見たでしょ?
体温計の数値。
倒れてもおかしくないくらい熱あるんですよ。
今日は私の言うことを聞いてください。
…いい加減にしてください!
『仕事、仕事』って…。
自分の体より仕事が大切なんですか?
どうして、自分を大切にしてくれないんですか?
…すみません。
感情的になりました…。
あなたが倒れたら、と思うだけで私…。
そんなの、イヤです…。
お願いします。
私も休みますから。
…今日はお休みしましょ?
ね?
(彼氏が了承する)
…よかった…。
じゃぁ…会社にお休みする連絡を入れてください。
今、ここで。
私の目の前でしてください。
内緒にしないといけない話というわけでもないでしょ?
ただ会社に休みの連絡を入れるだけなんですから。
ほら、早く。
(彼氏が会社に休みの連絡を入れる)
(小声で)ちゃんと『休ませてください』って言ってください。
(彼氏が電話を切る)
では、私も連絡しますので、少しだけ静かにしててくださいね。
(呼び出し音)
(風邪引いてるっぽい感じで)おはようございます。
いきなりで申し訳ないのですが、今日休ませてもらってもいいですか?
風邪引いたみたいで、熱と咳が出ちゃって…。
ありがとうございます。
すみません。
失礼します。
(電話を切る)
はい、これで私もお休みになりました。
と言っても、ズル休みですけどね。
(彼氏が抱きついてくる)
うわっ…!
どうしたんですか?
熱が出て甘えんぼさんになっちゃったんですね。
(背中トントンしながら)大丈夫ですよ。
どこへも行きませんから。
ずっとそばにいます。
ほんとですよ。
嘘じゃないです。
こんなところでずっと話してたら余計に悪くなりますから、まずは、ベッドに行きましょうか。
(リビングからベッドルームに移動)
はい、お布団の中に入ってください。
ん?
手繋いでほしいんですか?
仕方ありませんね。
もう…。
(彼氏と手を繋ぐ)
ただ手繋いでるだけなのに、そんなに嬉しそうな顔して…。
ほんとにあなたはズルいです。
怒るものも怒れなくなりました。
あなたが仕事を大切にしているのは理解しています。
でも、あまり自分の体をいじめないでください。
ただの風邪も、こじらせたら肺炎になったりするんですから。
体調が悪い時は、ちゃんと休む!
いいですね?
約束ですよ?
あっ!
あと、体調悪い時じゃなくても、もう少し私に甘えてください。
大したことできないですけど、私にできることなら何でもしますから。
さっそく、何かあるんですか?
『キスしてほしい』!?
ダメに決まってるでしょ。
そんなことしたら、私に風邪がうつっちゃうじゃないですか。
確かに、人に風邪をうつすと治りが早いとは言いますけど、それとこれとは話が別です。
もし、今キスして私が明日風邪で寝込んだら、誰があなたの世話をするんですか?
全部自分でしないといけないんですよ?
私だって、体調が悪い時は自分のことで精一杯ですから。
あなたの世話まではできません。
イヤでしょ?
なら、私の言うことを聞いて、少しでも早く風邪を治してください。
完治したらいっぱいしてあげますから。
お
今はゆっくり寝てください。
いいですね?
返事は?
ふふ。
いい子ですね。
おやすみなさい。
早く治りますように。