せーんぱいっ!
やっと見つけた…。
屋上、立ち入り禁止ですよ。
分かってて立ち入ってるあたり確信犯ですね。
まぁ、今日みたいに寒くて風の強い日は誰も来ないから、1人になりたい時には最適な場所かもしれないけど…。
(先輩の体に触れる)
やっぱり……体、めちゃくちゃ冷えてるじゃないですか。
俺の上着、着ててください。
俺のことはいいから。
女性が体冷やしたらよくないんですよ。
とりあえず、中、入りましょ。
いつまでも、こんなところにいたら風邪ひきますよ。
まだここにいたいんですか?
…じゃぁ、俺も付き合います。
俺もまだここにいたい気分なんで。
隣座ってもいいですか?
…よいしょ、っと。
それはそうと、先輩のこと、ずっと探してたんですよ。
デスクにいないし、誰に聞いても先輩の居場所知らないって言われるし…。
1人になりたい時があるのも分からなくもないですけど……探す身にもなってください。
はぁ……疲れた…。
そりゃ、昼休み中ずっと先輩を探し回ってたんですから。
おかげで昼飯食べる時間なくなっちゃいました。
…卵焼き、ください。
先輩のお弁当の卵焼き。
それで昼飯食い損ねたの、許してあげます。
ね?いいでしょ?
もちろん『あーん』してくださいね。
1回だけだから。
この通りっ!
やったっ!
……あーん。
んーっ!
おいしい。
めちゃくちゃ俺好みの味付け。
ごちそうさまでした。
あっ!
そうそう。
卵焼き貰って、すっかり大事なことを忘れてました。
先輩を探してたのは、コレを受け取ってもらおうと思って…。
はい。俺からのバレンタインチョコ。
あと、このバラも。
うん、思った通り。
すごく素敵です。
先輩には赤いバラが1番似合いますね。
どうせキザですよー。
どんなことをやったって、先輩は俺を後輩以上に見てくれることはないんでしょ。
こうでもしなきゃ、俺も男だってこと意識してくれない…。
(先輩を壁ドン)
ねぇ…先輩…。
俺、本気で先輩のこと好きなんですよ。
いつになったら、俺の気持ち、このバラみたいに受け取ってくれるんですか?
(先輩を壁ドンから解放する)
なーんてね。
怖い思いさせたら、ごめんなさい。
…でも、冗談なんかじゃないです。
ずっと本気ですよ。
いつになったら先輩が俺のこと本気になってくれるかなって待ってました。
でも、いつまで
だから、これからは攻めていきます。
先輩に本気で俺を意識してもらうために。
ちなみに、バラの花言葉って本数で違ってくるって知ってます?
バラ1本の花言葉は『一目惚れ』『あなたしかいない』。
俺の気持ちそのものなんです。
だから、1秒でも早く先輩に受け取ってほしくて、ずっと探してたんです。
先輩が誰かに取られてしまう前に。
…先輩、下ばっか見ないで。
ちゃんと俺の目見て。
どうして、さっきから全然目合わせてくれないんですか?
……こっち見てって。
(先輩を顎クイ)
バラの意味を知っても、受け取ったままってことは、少しは脈アリだと思っていいんですよね?
まぁ、今の先輩の顔見れば、全部分かっちゃうんですけど。
その顔見られたくなくて、下向いてたんでしょ。
…ほんと、かわいいんだから。
返事はいつでもいいです。
でも、『好き』以外の答えは聞きたくありません。
今まで待ってたんですから、あと少し待つのが延びるくらい平気です。
俺、気は長い方なんで。
俺のこと、ちゃんと”男”として好きになってくださいね。
……先輩。